訪問リハビリの理学療法士が遭遇する生活期における補装具問題

訪問リハビリの理学療法士として生活期のリハビリを実施していると、様々な地域の問題に遭遇します。

その一つが補装具(主に短下肢装具)に関することです。

以前、Twitterでもこのようなツイートをさせて頂きました。

補装具とは?

補装具といっても色々なものがあります。

身体障害者・身体障害児共通

義肢、装具、座位保持装置、盲人安全つえ、義眼、眼鏡、補聴器、車椅子、電動車椅子、歩行器、歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く)、重度障害者用意思伝達装置

身体障害児のみ

座位保持椅子、起立保持具、頭部保持具、排便補助具

補装具についてはこの本が分かり易く説明されていますのでお勧めします。

↓↓↓↓↓

生活における補装具の問題

生活期で理学療法士として訪問リハビリを行っていると色々と課題を感じます。

今回は装具の中でも『短下肢装具』の問題について述べていきます。

そもそも装具とは?

装具とは外傷、疾病等による変形や機能障害に対して、変形の予防、矯正、患部の保護、失われた機能の代償や補助等を目的として、四肢・体幹の機能障害を軽減するために使用する補助装置です。

装具の機能的分類

補装具の中の装具と言いましてもまだまだ広い分類です。

装具を機能的に分類すると、以下の様に分類できます。

①固定用装具、②支持装具、③矯正用装具、④免荷装具、⑤歩行用装具、⑥立位保持用装具、⑦夜間装具、⑧牽引装具

今回、説明します『短下肢装具』⑤歩行用装具に分類されます。

装具の身体部位別分類

装具を身体部位別に分類することもできます。

装具を身体部位別に分類すると、以下の様に分類できます。

①上肢装具、②下肢装具、③体幹装具

今回、説明します『短下肢装具』②下肢装具に分類されます。

さらに、②下肢装具は、以下の様に分類できます。

①股装具、②長下肢装具、③膝装具、④短下肢装具、⑤ツイスター、⑥足底装具、⑦補高、⑧内側楔、外側楔

短下肢装具とは?

短下肢装具は、下腿上部より足底におよび、足関節の動きを制御する装具です。

下肢に筋力低下や変形拘縮・疼痛等があり、歩行能力の低下した状態の時に使用されます。

このようなイメージです。↓↓↓

【東名ブレース株式会社さんHPより引用させて頂きました】

現在は、装具の開発も進み、色々な高機能・デザインがあります。

金属製のものからプラスチック製のものまで色々あります。

リハビリテーションの中にも装具療法というものがあるように、理学療法士にとっても装具は非常に大切な存在です。

生活期における問題

今回は、生活期において私が日頃から感じている『短下肢装具の問題』について述べていきます。

①短下肢装具をずっと使えると思っている人がいる

②短下肢装具を作り直すことのできる病院を知らない人が多い

③短下肢装具に生じる問題に気付くことができない。身体に合っていないまま使用している場合がある

④短下肢装具の処方を出す主治医と関わる介護サービスが異なる

⑤回復期病棟などを退院後しっかりとアフターフォローできていない

代表的なものが上述したものです。

介護保険下(生活期)では理学療法士等のリハビリ専門職が必ず関わっているとは限りません。

恐らく、私たちリハビリ専門職が関わっていないケースにおいても先ほど述べた問題が生じている可能性があると思います。

しかし、その問題にも気づくことができない現状があると思います。

生活期のリハビリにおいての課題は他にもたくさんあります。

一つ一つ解決していくことが、障害を患っても住み易い地域創りの第一歩だと思います。

問題に対する解決策

では、私たちは何ができるのでしょうか?

私が大切だと思うことは、まず、生活期で関わるリハビリ専門職がしっかりと装具に関する知識を付けることだと思います。

介護保険下では装具を義肢装具士と連携して作製する機会が少ないです。

その機会が少ないという事は、なかなか知識や経験を増やすことが難しくなります。

介護保険下だからこそ、補装具についての勉強をすべきだと思います。

装具の作製できる病院は近隣にどこにあるのか?

装具を作製するにはどのような手順を踏めば良いのか?

装具は身体に合っているのか?

装具が破損していないか?修理は必要ないか?

リハビリ専門職がしっかりと見ていれば防げる問題も多々あると思います。

それをしっかりと評価して利用者さんに説明することが大切です。

しかし、リハビリ専門職が必ず関わっている場合ばかりではありません。

得た装具の知識をしっかりと、ケアマネージャー・看護師・介護士などに伝えましょう。

そして、ケアマネージャー・看護師・介護士は知識をつけましょう。

もし分からなければ、仲の良いリハビリ専門職に聞きましょう。

これが本当に大切です。

だからこそ、普段から他職種と仲良くすることは非常に大切であり、それが地域包括ケアシステム構築の第一歩になると思います。

また、地域に補装具の拠点病院を設けることも大切だと思います。

『あそこに行けば、装具をしっかり診てくれる!』

そんな病院・もしくは病院併設の通所リハビリができると生活期における装具難民は減少するのではないでしょうか?

このように集客するのもビジネスとしては一つの方法かと思います。

しかし、わざわざ装具の為に介護サービスを変える必要もないと私は思います。

患者さんを取り合っていては地域丸ごとケアは実現されないと思います。

だからこそ、普段から手を取り合う。仲良くする。

別の法人でも手を取り合う。同サービスでも連携をする。

専門職のつながりは地域を強くさせますね。

また、回復期病棟退院時はしっかりと説明する必要があると思います。

これは回復期で働くセラピストに向けたメッセージです。

『この装具に不具合が生じたらいつでもこの病院に来てくださいね』

『少なくても半年たったら一度見せに来てくださいね』

など声をかけてあげて頂けると生活期において後々知らない間にきている生活混乱期を減少できます。

退院時は患者さんは退院するということで頭がいっぱいでその後の事なんて考えられる状態ではないと思います。

分かり易く患者さんに伝える・残る形にするなどの工夫も必要だと思います。

現代は『医療から介護、病院から在宅』の流れであり、圧倒的に在宅で生活する方が多くなっています。

以前このような記事を書きました。

↓↓↓↓↓

『入院から在宅へ』回復期リハビリの退院支援のポイント

私は、生活期で働くセラピストとして、退院後の生活混乱期をなるべく少なく退院させることが回復期で働くセラピストには大切な能力だと思っております。

装具の問題は後々くる時間差生活混乱期です。

そこにもしっかりアプローチすることが大切です。

しっかりとアプローチをしていても救えない方は多くいます。

そこを生活期で関わるリハビリ専門職はじめ、医師・看護師・介護士・ケアマネージャーなどの専門職がしっかりと支援する必要があると思います。

この記事を見た方へ最後にメッセージ

『明日から少しずつ装具の勉強もしてみませんか?』

私もまだまだなので勉強します。

2 Comments

みのりんぱぱ

限りなく病前の状態(≒補装具を使わない生活)を望まれる利用者さんは多く、また私も可能なら叶えてあげたいと思っています。OTである私はPTさんに比べれば補装具の知識が少なく、補装具卒業のタイミングに迷うことがあります。
私がよく頭を悩ますのが、補装具使用=悪化(改善していない)と思われる利用者さん・利用者さん家族が多いことです(杖も多いです…)。なるべく妥協点を探す努力はしますが・・・
まぁ、利用者さんの人生なので、最終的には本人が選んばれたらそれを尊重する態度をとっています(明らかに状態が変化した時は、口出しします!)。

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WOLF

コメントありがとうございます。
本人が選ばれたらそれを尊重する態度。
同感です。
病院から自分のお城に帰ったら自由ですから…。
でも私もそれで良いと思っています。
退院後の在宅では、色々なことが起きますよね。
退院後、すぐに短下肢装具などを使わない方も多いことが現状です。
杖なども同様です。
歩行器などの福祉用具の選択やリハビリの内容の選択も同様だと思います。
全てにおいて、利用者さんが選んだものからセラピストが一番良いものを選ぶ。
また、利用者さんの選択が不適切であれば専門職としてしっかりと説明をする義務はある。
本人の意見だけなら良いのですが、そこに家族・ケアマネの意見もあることがあり、理想通りにはいきませんが…。笑
コメントを頂けると色々考えさせられます。
ありがとうございます。

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