理学療法士が知っておきたい在宅酸素療法(HOT)

訪問リハビリの現場で良く目にする在宅酸素療法

はじめに『HOT』という名前聞いたとき、

「ほっと?ほっともっと?(笑)ん?何?」

という感じでした。

誰もが初めて医学用語を聞くときは

「ん?何?」と思うのが普通だと思います。

医学用語は略語や英語を含めるとものすごい数があり

全てを理解できている人はいないと思います。

恥ずかしいことではないと思います。

私も記憶力が悪いので知らないことばかりです。(笑)

今回は在宅酸素療法(HOT)について一緒に学んでいきましょう!

在宅酸素療法(HOT)とは?

在宅酸素療法(HOT)とは、

Home…在宅

Oxygen…酸素

Therapy…療法

の略です。

在宅酸素療法とは、酸素吸入が必要な慢性呼吸不全の人が自宅に酸素供給装置を設置し、酸素療法を行うことです。

在宅酸素療法(HOT)は1985年に社会保険の適応が認められたことにより、使用者が現在までに急激に増加しています。

在宅酸素療法の代表的疾患

多いものは以下の疾患です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD):肺気腫・慢性気管支炎

肺結核後遺症

間質性肺炎:肺線維症

肺がん  ……等です。

在宅酸素療法の半分近くがCOPDです。

COPDは「呼吸困難感」と「疲労感」などの自覚症状により運動の耐久力が低下するのが特徴です。

COPDの病期分類

病期特徴
Ⅰ期 軽度の気流閉塞%FEV1≧80%   ※%FEV1は%1秒量を示す
Ⅱ期 中等度の気流閉塞50%≦FEV1<80%
Ⅲ期 高度の気流閉塞30%≦FEV1<50%
Ⅳ期 きわめて高度の気流閉塞%FEV1<30%

【日本呼吸器学会COPDガイドラインより引用】

社会保険のHOTの適応基準

社会保険のHOTの適応基準は以下の通りです。

①高度慢性呼吸不全例

 1)動脈血酸素分圧55Torr以下の者

 2)動脈血酸素分圧60Torr以下で睡眠時または運動負荷時著しい低酸素血症をきたす者

②肺高血圧症

③慢性心不全

 NYHAⅢ度以下であると認められ、睡眠時のチェーン・ストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されている症例

④チアノーゼ型先天性心疾患

NYHA分類

NYHA分類とは

New York Heart Associationの略です。

ClassがⅠ~Ⅳまであります。

Class Ⅰ心疾患を有するが身体活動は制限されない。普通の身体活動では特に疲労、動悸、呼吸困難をきたさない
Class Ⅱ身体活動が軽度から中等度制限される。安静時は無症状である。普通の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難をきたす
Class Ⅲ身体活動が高度に制限される。安静時は無症状であるが、普通以下の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難をきたす
Class Ⅳ非常に軽度の身体活動でも愁訴をきたす。安静時でも心不全あるいは狭心症の症状があり、少しの身体活動でも愁訴が増加する

チェーン・ストークス呼吸とは?

チェーン・ストークス呼吸とは、

小さい呼吸から一回換気量が漸増し大きな呼吸となった後、一回換気量が漸減し呼吸停止(10~20秒程度の無呼吸)がおこり、その後再び同様の周期を繰り返す呼吸

です。

【日本救急医学会HPより引用】

疲労感の評価スケール

疲労感を評価するスケールは様々なものがあります。

いくつか紹介します。

【MRC 息切れスケール】

(引用:日本呼吸ケアリハビリテーション学会呼吸リハビリテーション委員会)

修正MRC grade  0激しい運動をしたときだけ息切れがある
修正MRC grade  1平坦な道を早足で歩いたり、穏やかな上り坂を歩いたりするときに息切れがある
修正MRC grade  2息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い。あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある
修正MRC grade  3平坦な道を約100メートルまたは数分間歩くと息切れのために立ち止まる
修正MRC grade  4息切れがひどく家から出られない。あるいは衣服の着替えをするときにも息切れがある

【修正ボルグスケール】

0感じない
0.5非常に弱い
1やや弱い
2弱い
3 
4多少強い
5強い
6 
7とても強い
8 
9 
10非常に強い

在宅酸素療法指導管理料と加算(費用)

在宅酸素療法(HOT)は、

基本報酬と加算で算定をします。

基本報酬は、

在宅酸素療法指導管理料という算定をします。

在宅酸素療法指導管理料は月に1回算定できます。

1回、2,400点となっています。

また、加算は以下のようなものがあります。

加算は3ヶ月に3回に限り算定できます。

酸素濃縮装置4,000点
設置型液化酸素装置3,950点
酸素ボンベ(携帯以外)3,950点
携帯用酸素ボンベ880点
携帯型液化酸素装置880点
呼吸同調式デマンドバルブ300点
在宅酸素療法材料100点

以下、使用例です。

この場合、合計7,680点になります。

在宅酸素療法の目的

在宅酸素療法(HOT)の目的は簡単に説明すると、

低酸素血症の改善常生活レベルの向上

です。

細かく説明すると以下のようなものがあります。

①肝臓、腎臓、心臓、脳などの様々な臓器の障害の予防

②肺高血圧および肺性心の進行の予防

③睡眠時の低酸素の改善

④低酸素状態による注意力の低下や記憶力の低下の改善

⑤移動能力や行動範囲の拡大

在宅酸素療法における注意点

在宅酸素療法には様々な注意点があります。

①火気への十分な注意が必要(喫煙やコンロ、ろうそく、線香等)

②酸素ボンベの転倒

③チューブの管理(躓き、ねじれ、破損)

④災害時等の対策

…様々なことに注意して日常生活を送る必要があります。

リハビリ時に診るべき状態

リハビリをする際は、以下の点に注意しながら実施しましょう。

血圧とSpOに関してはこちらの記事も読んでみて下さい。

自動血圧計とパルスオキシメーターの仕組みを知っていますか?

①呼吸困難感

②バイタルサイン

③感染徴候

④呼吸音

⑤酸素供給装置の状態

⑥鼻カニューラやマスクの状態、チューブの状態

⑦受診状況の確認

⑧低酸素血症と高炭酸ガス血症の症状

<低酸素血症の症状>

頭痛、運動機能障害や判断力の低下、混迷、意識消失、血圧低下、頻脈、チアノーゼ、血管拡張による四肢の温度の上昇…などがあると言われています。

<高炭酸ガス血症の症状>

頭痛、めまい、混迷、意識消失、不随意運動、縮瞳および乳頭浮腫、高血圧、発汗、元気の無さ…などがあると言われています。

COPDに対する効果的なリハビリ

COPDに対するリハビリは状態や合併症などにより、様々なアプローチが必要になります。

例えば、リラクゼーションや呼吸法指導、日常生活動作指導、筋力トレーニングなどがあります。

その中で、私が特に効果がある(オススメ)と思うものは1つです。

それは歩行練習です。

ストローでフ~っと息を吹いたりする練習もしたことがあります。

しかし、『これって意味があるのかなぁ?』と思いながらやってます。

詳しい方は教えて下さい。

私が歩行練習をオススメする理由はいくつかあります。

まず、分かり易いからです。

非常に指導がし易く、患者さんも受け入れが良いです。

次に、どのくらいできたかがセラピストと患者さんの双方が把握し易いからです。

実際に、フ~っとティッシュを吹いてもどのくらい吹いたか分かりません。

どのくらい歩けたかを見た方が評価もし易いですし、何より患者さんの意欲に繋がります。

次に、やっと理学療法士っぽい意見です。

COPDエビデンスレベルの推奨グレードA

自覚症状』、『呼吸筋機能』、『運動耐容能』が挙げられています。

歩行訓練をするという漠然としたことですが、体内では様々なことが起きています。

上述した注意点をしっかりと把握しながら、とにかく適度に身体を動かす

これが一番身体の中を一番鍛えることができると思います。

細かな生理学的メカニズムについては時間があったら記事にします。

手抜きですみません。(笑)

とにかく、私は適度な運動=歩行訓練をオススメします。

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