本日は平成29年7月8日です。
平成29年7月5日に行われた社会保障審議会介護給付費分科会において『訪問看護』の話し合いが行われ、その後、訪問看護に関わる理学療法士等から様々な意見がSNSなどを通じて出ております。
私は訪問リハビリで働く理学療法士です。
平成29年6月7日に行われた社会保障審議会介護給付費分科会で先に『訪問リハビリテーション』についての話し合いがされています。
その内容は以前この記事でまとめさせて頂きました。
是非、見て頂きたいです。↓↓↓
H29.6.7介護給付費分科会の訪問リハビリの現状についての個人的な意見
今回は、平成29年7月5日の『訪問看護(リハビリ)』の内容を中心に訪問リハビリで働いている理学療法士の視点で、訪問リハビリサービス(訪問リハビリ・訪問看護からのリハビリ)の意見を述べたいと思います。
個人的な気持ちも強く出てしまうと思いますので、気軽に読んで頂きたいです。
是非、皆様の意見もお待ちしております。
目次
介護サービスの事業所数、伸び率
これは、平成28年4月審査分の『介護サービス事業所数』を示したグラフです。
訪問リハビリは訪問看護の半分以下となっています。
通所介護(デイサービス)と比較すると非常に少ないですが、少しずつ増えてきています。
これは平成18年の事業所数を1とした場合の事業所数の伸び率を表したグラフです。
訪問リハビリと通所介護は約2倍となっているのに比べ、訪問看護はあまり増えていない状態です。
訪問リハビリは事業所数も利用者数も増加しています。
利用者数は要介護2以下の者の増加率が高くなっています。
訪問看護ステーションの従事者の推移
これは訪問看護ステーション一つの事業所あたりの従業者数の推移グラフです。
訪問看護の事業所数はあまり増加していませんが、一つの事業所で働く人は増えています。
よって、訪問看護に関わる人は増えています。
これは職種別の推移グラフです。
平成13年に看護師の割合が91%でしたが、平成27年には73%に低下しています。
これは、リハビリ専門職(PT・OT・ST)の増加による影響です。
これを問題と考えるべきでしょうか?
後から述べていきます。
訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の取り扱いについて
PT・OTまたはSTによる訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させる位置づけのものである。
らしいですよ。(笑)
前から制度上は理解しておりましたが、これをみると少し悲しくなります。
訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問看護の現状
左のグラフは理学療法士等(PT・OT・ST)における訪問看護の単位数の推移を表したグラフです。
急激に伸びていることが分かります。
また、右のグラフは関わる利用者の介護度です。
要支援者はじめ、軽度の人に関わることが多い傾向があるようです。
それは訪問リハビリと一緒ですね。
介護保険の訪問看護で30%が理学療法士等だけで訪問しているというグラフです。
また、理学療法士等のみの訪問を提供している利用者について『看護師がアセスメント等のために訪問することは基本的にない』という割合は22%のようです。
22%の回答者(管理者さんかな?)は理学療法士等のリハビリ専門職を認めてくれている感じがして少し嬉しく感じます。
訪問看護ステーションの理学療法士等の割合は20%未満の事業所が約75%を占めるそうです。
20%以上理学療法士等がいる事業所は年々増加している傾向があります。
60~80%の事業所は2.5%、80%以上の事業所は0.2%とリハビリ専門職ばかりの訪問看護ステーションはまだまだ少ないという結果です。
また、年々訪問看護ステーションで働く理学療法士等は増加し、理学療法士等が10名以上いる事業所は平成27年で138事業所になっています。
私は良い事だと思いますが…。
このグラフは理学療法士等が増加した為、訪問看護の要支援者の利用割合が増えたというグラフです。
理学療法士等が要支援者の予防に努め、対象者が多い要支援者が増えるということは普通のことだと私は思います。
確かに訪問看護は『中重度者』をという文言が平成27年度改定時に出ましたが、リハビリ職は『予防』の分野を担う必要があるのではないでしょうか?
でも…訪問看護という解釈なのですね。きっと。
はじめは現状説明だけをしようとしていましたが、少し気持ちが前に出てしまいました。(笑)
これは、理学療法士等の割合によって、『緊急時訪問看護加算』『24時間対応体制加算』『特別管理加算』の届出の割合が異なるということを示したグラフです。
理学療法士等が20%以下の事業所では届出されている事業所が多く、40%以上理学療法士等の事業所は届出されている事業所が少ないという結果です。
これはデータにしなくても分かることだと思います。
この加算は看護師しか算定できない上、『緊急時訪問看護加算』『24時間対応体制加算』はある程度の看護師の数がいないと働く人が大変で算定が厳しくなります。
看護師が少ない事業所がこの加算をとると、辞めていってしまうという事態を招くことになります。
これは『訪問看護(リハビリ)』と『訪問リハビリ』の訓練内容を表したグラフです。
やっていること…一緒ですよね。(笑)
私も以前、『訪問看護(リハビリ)』と『訪問リハビリ』の違いについて色々記事を書きました。
訪問リハビリでは屋外歩行可能だが、訪問看護(リハビリ)では屋外歩行は禁止?
【おまけ】訪問看護師のリハビリと理学療法士等の訪問リハビリの違いは何か?
しかし、やっていること…実際、一緒ですよね。(笑)
私は訪問看護での経験も3年あります。
その後、訪問リハビリを2年余り経験しています。
何が変わったか?
事業所が『私の色に染まった』ですかね。(笑)
もし、私が訪問看護の管理者だったら、訪問リハビリも訪問看護もやる内容は変わらないと思います。
訪問看護でも適宜適切なリハビリテーションを行い、社会参加・卒業・退院後早期短期集中な介入を目指すと思います。
これは、訪問リハビリと訪問看護(リハビリ)の対応できない利用者の状態像を表したグラフです。
訪問看護に比べ、訪問リハビリでは対応できない利用者が多いという結果になっています。
私は、訪問リハビリでも訪問看護のリハビリでも制度上受け入れることができるのであれば、対応できない利用者の違いはないと思っています。
私の事業所では末期がん患者も受け入れますし、ターミナルの方も受け入れます。
他の訪問看護ステーションも入れて頂き、しっかりと連携を図ります。
当然、主治医とも連携を図り、緊急時の対応等をしっかり事前に決めておけば対応可能と考えています。
これは事業所の管理者としては非常に参考になるデータです。
ケアマネージャーが訪問リハサービスを依頼する時に最終的に決め手になる理由は、
1番が『日頃の連携・信頼関係』とのことです。
やはり、これが1番の決め手なんですね。
興味がある方は最近こんな記事を書いたので見てみて下さい。
訪問理学療法士とケアマネの『訪問リハビリ対象者』の考えの違い
いよいよ本題です。私の意見
訪問看護についての資料のほとんどに『理学療法士等』が出ていました。
途中多すぎて、あまり重要ではない項目に関しては略させて頂きました。
まず、個人的には『理学療法士等』の話をするのではなく、看護師の訪問看護についてもっとしっかり話すべきではないかと思います。
偉い人の考えることですので、それが良いのかもしれませんが…。
リハビリ専門職のSNSでも多く取り上げられていましたが、この会議に『理学療法士等』が出席していないということがまず問題ですよね。
国会議員も少しずつ出せれるようになってきましたが、まだまだリハビリ専門職の地位は低いです。
↑これは平成29年5月17日の『医療と介護の連携に関する意見交換における主な御意見』です。
訪問看護師が増えない中、PT・OTが増えている。
あり方というより、理由を考えた方が良いと思います。
【齋藤訓子さん(日本看護協会副会長)の意見】
「看護師と理学療法士などが共同してリハビリ計画を作成することや、リハビリ主体の利用者でも月に1回は看護師が訪問してアセスメントを行うことなどを運営基準に盛り込むべき」
これは何が目的なのでしょうか?
私には分かりません。
現場で、PTやOTが看護師に『リハビリについて質問があるのですが…』
という光景は見たことがありません。
計画を作成する際に連携を図り、共同することは良いと思います。
要支援の方は看護師の訪問を望んでいるのでしょうか?
私は訪問リハビリサービスに5年以上従事しています。
私はある程度の全身状態の把握および管理はできます。
理学療法士等のみの訪問を提供している利用者について『看護師がアセスメント等のために訪問することは基本的にない』という割合は22%という結果もあります。
現場レベルで管理者がそう判断しており、リハビリ専門職に任せている。
確かに看護師の代わりかもしれませんが、良い働きをしていると思います。
逆に、運動時におけるバイタルの診方に関してはセラピストの方が優れているようにも感じます。
セラピストは、バイタルが変化した際、『身体の中で何が起きているのか?』を考えます。
看護師はどうでしょうか?
セラピストも看護師も技術・知識・経験様々だと思います。
優秀なセラピストもおり、優秀な看護師もいると思います。
正直、私は今まで優秀な看護師に出会った経験が少ないです。
訪問リハビリで、バイタルの異常があり相談すると、
ほとんどの看護師から
『マッサージとか無理しない程度にやれば良いと思うよ』
と返答があります。
それが続くと聞く意味が分からなくなります。
そんな看護師が月に1回訪問して何ができるのか?私には疑問です。
要支援の利用者さんからも現場レベルでは
『看護師さんは血圧測るだけだし…。断りたい。』
などの声もあります。
私には、リハビリ専門職の利用者さんからの需要を利用しているしか思えません。
これからの時代、在宅医療は非常に重要になり、訪問看護師の需要は増えます。
訪問看護師の確保は大切なことだと思います。
それは叶えていって欲しいです。
また、理学療法士等が多い訪問看護ステーション
『PT等が60~80%の事業所が2.5%』
『PT等が80%以上の事業所が0.2%』
たったのこれだけですよね。
これに意見を言うのはおかしいです。
そんなにリハビリ専門職が嫌いなの?って思ってしまいます。
他職種協働ではないのでしょうか?
私は理学療法士等が訪問看護ステーションで活躍していることは素晴らしいことだと思います。
どんどん増えれば良いと思います。
緊急時対応できる中重度患者を救うステーションと、リハビリ専門職によるリハビリ特化型のステーションを機能分けすれば良いと思っています。
それより私は前から、リハビリ専門職が管理者の訪問リハビリステーションの全国的な実現を夢みています。
現状の平成30年度同時改定における方向性は、
私の解釈ですと、
【訪問リハビリ】
・退院後の訪問リハビリ早期導入に向けての対策?
・退院支援加算等?
・リハビリ計画書の医療介護統一?
・リハマネ(特にⅡ)の在り方?
・医師との連携?
・社会参加支援、卒業に向けて?
【訪問看護(リハビリ)】
・不安がいっぱい(涙)
という印象です。
私は訪問リハビリに従事している理学療法士ですが、訪問リハビリサービスがより良い方向に改正していくことを願っています。
訪問看護(リハビリ)に関しては少し不安もありますが、良い方向性に傾くことを望んでいます。
ちなみに私は2年前に訪問看護から異動し、
訪問リハビリを多くの方の協力の下、立ち上げ
①回復期との兼務体制確立(つなぐリハビリ)
②積極的な卒業(卒業者実績は利用継続期間4ヶ月)
③しっかりとしたリハマネジメント
④全ての他(多)事業所連携
⑤医師との連携
⑥退院後の短期集中リハビリ
をコンセプトにしっかりと実践してきました。
その為、次回の訪問リハビリの改定は非常に楽しみです。
正直、私は今までやっていたことを数多くの人に否定されてきました。
その中でも理解してくれた人もいます。
それが『正しかった』と思わせてくれる改定になって欲しいです。
【↓↓おまけ↓↓】
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