訪問リハビリの卒業を上手に勧める為には何をすべきか?

訪問リハビリの卒業

訪問リハビリの卒業は少しずつケアマネージャーはじめ、生活期リハビリに関わる多職種に浸透してきています。

平成29年10月10日に自民党政策集Jファイル(マニュフェスト)においても『自立支援に資する訪問リハビリテーション‥(中略)‥を強化』という文言が追記されました。

しかし、現場で働く訪問リハビリセラピスト(理学療法士等)は自立支援をし卒業をさせるということに対しては決して容易ではなく、日々悩んでいると思います。

他事業所・当事業所・ケアマネージャー・医師・本人・家族・地域・高齢者社会・セラピスト不足‥‥

みんなの想いがあるからです。

私もその一人です。

『この症例は○○をゴールとし、卒業』と自信を持って正解を言える方がいたら是非指導して頂きたいと思うくらい悩んでいる現場のセラピストは多いのではないでしょうか?

現場で働くセラピストにとって『卒業を勧める』背景には様々な苦労があるはずです。

日々臨床に悩み、適宜適切な効果的な訪問リハビリテーションを展開しようと努力している中で、訪問リハビリにおける卒業について現在(平成29年10月)感じていることがいくつかあります。

慢性進行疾患の方は無理に卒業させる必要がないかもしれない

最近、思うようになりました。

全員を卒業させるべきではない?‥‥と。

これは今の私の考えであり、また考えが変わるかもしれません。

例えば、慢性進行性疾患の代表でもあるパーキンソン関連疾患。

パーキンソン病関連疾患についてはこの記事でもまとめてあります。

↓↓↓↓↓

パーキンソン病関連疾患の概要と訪問リハビリの内容と課題

このような症例があったとします。

①日常生活はほとんど介助なく何とか一人で行えている

②看護師による医療ケアは不要

③慢性進行疾患の為、少しずつ症状が進行

④生活は安定しており、通所系サービスに通うメリットも少ない

もし、このような症例がいた場合、貴方がケアマネージャーだったらどんな介護サービスを入れますか?

月に1回のケアマネージャーの訪問。

月に1回の定期受診。

これだけで進行する病状を適切に把握することはできるでしょうか?

ケアマネージャーに『こんな症状が出たら訪問リハビリを再開します。』ということも良いかもしれません。

しかし、それで本当に大丈夫なのでしょうか?

『日々の状態把握』の為にリハビリの視点で訪問リハビリのサービスを使うという選択もありなのかもしれない?と最近は感じるようになりました。

サービスの種類は異なる訪問看護Ⅰ5(いわゆるセラピストによる訪問看護)にその役割を振るというのも同じ免許を持っている者としては何か違う感じもします。

『訪問リハビリの目的=日々の状態把握』

これも、場合によっては正しいのかもしれません。

周りからみていたら、それは目的でも役割でもないとの意見が挙がるかもしれませんが、臨床で悩まれている方は共感してくれるかもしれませんね。

リハビリは治すことができないことの方が多いです。

リハビリをしっかりすれば良くなる‥‥そんなわけがありません。

日々の状態をしっかりと把握し、リハビリ専門職として何かしらの助言をできることを日々探し続けることもしっかりとした役割りかもしれません。

訪問リハビリの卒業は必ず契約時に説明をすべき

介護サービスの卒業が周知されてきたのもここ最近のことです。

例えば2~3年間の間、関節可動域訓練と筋力訓練のみを訪問リハビリで実施してきた利用者さんがいるとします。

理学療法士等の訪問リハビリに関わるセラピストも日々勉強し、訪問リハビリとは?を追及していると思います。

今まで何気なく実施していたリハビリの形を勉強した結果、間違いだった・もしくは、目指すリハビリテーションではなかったと感じることもあると思います。

理学療法士等は日々勉学に励み、自己研磨をしていく必要がありますし、はじめは全員新人であり0からのスタートの為、仕方のない事だと思います。

また、並行して介護報酬改定定期的に行われ、リハビリテーションの概念も変化しいていきます。

そんな中、今まで受けていたリハビリを『卒業です』と利用者さんの為に伝えるのにはそれなりの理由・説明が必要です。

中には理解してくれる利用者さんやご家族さんも多くいらっしゃいます。

しかし、利用者さんもご家族さんも十人十色です。

利用者さんやご家族さんが介護報酬改定などの制度を勉強しているということは限りなく可能性が低いことです。

今までやっていたことが急にできなくなる。

利用者さんやご家族さんにとってはこんなに理不尽なことはありません。

このような方たちは、なかなか卒業させることは難しいかもしれません。

ケアマネージャーや他職種の協力があれば別ですが、なかなかしっかりと適切なマネジメントができる人も多いとは言い難いのが現状です。

しかし、契約時に卒業ありきで利用者さんやケアマネージャーさんに説明をすると、すんなりと卒業できます。

漠然と開始するのではなく、初めからしっかりと説明する。

これが利用者さんやご家族さんが気持ちよく卒業する第一歩だと思います。

訪問リハビリを卒業させる為には具体的な目標設定をする

契約の際に、訪問リハビリはいずれは卒業をするものだと伝えることは大切です。

しかし、『いつ卒業するのか?』ということが鍵となります。

それは、目標が達成した時です。

その為にも具体的な目標をしっかりと立てる必要があります。

初回面談・初回訪問でしっかりとアセスメントをし、具体的な目標を設定する。

その目標が達成できたら卒業ということをしっかりと説明する。

この工程が必要です。

もし、目標を達成した際に新たな目標が生まれたらその目標を具体的に設定し、また卒業の約束を交わす。

この具体的な目標設定こそが、利用者およびセラピストの双方の意欲向上にも繋がります。

可能であれば、『いつまでに・なにを・どのくらい・できるように』のように具体的に段階付けて目標設定することをお勧めします。

訪問リハビリを卒業させる為には事業所のスタッフが同じ方向性を向く

まだまだ介護サービスの卒業の定義は定まっておりません。

制度上も曖昧であります。

その為、同職種であるセラピスト個々の意見も必ずしも同じであるとは言えません。

事業所という小さなフィールドで考えの相違が生まれていたのであれば、しっかりと外部に説明することは難しいと考えます。

その為にも、しっかりと事業所内の方針を定め、スタッフが同じ方向を向いていく必要があります。

訪問リハビリの卒業に対する考えも社会的地位が高い方々によっても異なります。

○○氏はこう言っている。○○氏はこう言っている。と言い合うより、事業所として置かれている状況で何をすべきかを考える必要があると思います。

正直、卒業をさせると利用者は減り、事業所の売り上げは減少します。

そんなことをしないで売り上げを上げろという経営者の下で働くセラピストも中にはいるはずです。

数ヶ月前にこんな記事も書きました。(今とは意見が異なることも書いてありますが、それもセラピストとしても成長として捉えて頂きたいです。)

訪問リハビリで卒業させ過ぎて利用者が減る事件発生

訪問リハビリの卒業は一つの考えに過ぎません。

それが正解なのかも分かりません。

仕事に対する考えも人それぞれ異なります。

その為、仕事をするというモチベーションを保つためにも、セラピストとして成長する為にも、上手に訪問リハビリの卒業を目指す為にもまずは自分の置かれている周りの方向性を同じ方向に整えることが大切だと考えます。

訪問リハビリを卒業させる為には利用者さんに安心感を与える

訪問リハビリの卒業は利用者さんやご家族さんにとっては不安なものだと思います。

今まで来てくれていた人が来なくなるわけですから、当たり前なことかもしれません。

平成27年度介護報酬改定において、訪問リハビリでは、社会参加支援加算が新設されました。

↓以前にこのような記事も書きました。↓

訪問リハビリにおける社会参加支援加算とは?

社会参加支援加算新設から1年経過した現状

社会参加支援加算の算定要件に、終了後訪問というものがあります。

終了後訪問とは、終了後、14日以降45日以内に訪問し、評価することです。

私の事業所では、この終了後訪問を全利用者に行っています。

そこで、機能が低下していないか?問題点はないか?と

自身の行ってきた訪問リハビリの提供の答え合わせをします。

そして、問題があったらまた訪問リハビリを再開すれば良いだけです。

そこでもしっかりと目標設定をすることが大切です。

また、『何かあったらいつでも連絡して来てくださいね』と伝えて安心させてあげることも上手く卒業する後押しになると思います。

終了後も時々気になった時に電話してみることによって、『卒業は正しかったんだ』とセラピスト自身も振り返ることができ、次に繋げることができるかもしれませんね。

みんなに訪問リハビリの卒業についての意識を変える働きをする

少しずつ卒業に対する考えは浸透しつつあります。

数年前から他職種に伝えてきました。

このブログ『訪問リハWOLFねっと』を通しても訪問リハビリの卒業についての記事を多く書いてきました。

なぜ訪問リハビリの理学療法士は卒業や通所系サービスを勧めるのか?

訪問リハビリはじめ、介護サービスの卒業は少しずつではありますが、周知されてきています。

しかし、この考えは昔にはありませんでした。

最近書いたこの記事も卒業に関係することだと思います。

自立支援に向けた事業者へのインセンティブ(案)に対する思い

訪問リハビリの卒業は簡単にはできません。

多職種・みんなを巻き込む必要があります。

その為にも、たくさんの成功事例を作る必要があります。

多くのケアマネージャーに卒業の成功事例を共感して頂き、卒業に対する認識を変えてもらう必要があります。

また、サービス担当者会議においても訪問リハビリの役割をしっかりと説明する必要がります。

可能であれば、各自治体で行っている勉強会で卒業について説明したり、上手に卒業させた成功事例を紹介し、みんなに訪問リハビリの卒業は良いものなんだという認識をつけて頂く必要があると思います。

これは本当に時間がかかることだと思います。

しかし、平成30年度介護報酬改定の主軸にある介護保険制度の存続を図り、若い世代が年老いてもより良い日本を築いていく為には必要なことだと思います。

リハビリテーションを終了するという概念はまだ浸透していません。

リハビリテーションはダラダラと続けるものではない。

しっかりと効果のあるものを必要な時に必要なだけ行う必要があります。

エネルギーは必要であり、はじめは否定されます。(経験済みです)

しかし、誰もやらなければ変わりません。

少しずつ、各地域の認識を変えていき、みんなで卒業に向けて働きかけることが訪問リハビリを上手に卒業する為の第一歩になると考えます。

訪問リハビリを卒業させることは怖くない

卒業させると、利用者は減ります。

サービス提供責任者として、事業所の運営も考えなくてはいけません。

はじめは、卒業させていつ新規の利用者が次くるのかな?‥‥と不安に感じていました。

正直、今も同じ気持ちです。

日々、事業所の運営のことを考え日々恐怖と闘っています。

しかし、良いケアをして、利用者さんを回復させ、生活機能を改善させ、卒業させれば、必ずケアマネージャーさんはリピートしてくれます。(実証済みです)

『この事業所に頼めば良くなる』

こんなカッコイイ事業所を目指してみませんか?

ダラダラと少人数の利用者さんに寄り添うより

短期的に回復させ卒業させ、結果的に多くの利用者さんを診ている

こんな事業所の方がセラピストのモチベーションも向上し離職率も減少し、評判も良くなるはずです。

卒業させることは事業所にも利用者さんにもはじめは抵抗があります。

しかし、時代は超高齢化社会。

地域包括ケアシステムの構築の為には、訪問リハビリは訪問リハビリにしかできない役割をしっかりと担う必要があります。

最後に(訪問リハビリの卒業について)

私はまだまだ経験の浅い未熟な理学療法士です。

上述したことが正解なのかは分かりません。

訪問リハビリ含め、介護サービスの卒業に対して日々の臨床で悩んでいる人も多くいるはずです。

私もその一人です。

日々、悩んでいます。

そんな人たちの為に、私の経験や想いが少しでも役に立てば良いという気持ちを込めて記事にしました。

少しでも参考になれば光栄です。

コメント・メッセージどうぞお気軽にお問合せ下さい。

4 Comments

みのりんぱぱ

7〜8割は同感です。ADLは全て自立。挙げ句の果て車も運転出来ていて…こんな人に本当に訪問リハビリが必要なのか?その為に新規を断るなんて…こんな想いから卒業を意識する様になりました。そしてケアマネさんを中心にアンケートをとらせてもらいました。そこで改めて知らされたのは、訪問を含めたリハビリが余りにも理解されていない事でした。「リハビリに終わりなんて考えた事もない」「リハビリを続ければいつかは歩ける(動ける)」と言った意見がすごく多く、看護師でさえ「プラトー」について知っている人はいませんでした。そこでケアマネさんに地域の研修会や事例検討会などで時間をもらい、リハビリについて考え直して貰う取り組みを約1年間続けました。そして仰られているように、目標はより具体的に立てて貰う、など具体例を示しながら提案もしてきました。結果、3割程度、意識が高いと思われるケアマネさんを中心に賛同してくれる方が出てきています。新規の開始時にケアマネさんから卒業の話をしてくれると本当に助かります。
同時になぜ世間でこう言った話題が盛り上がらないのか不思議に感じていました。どうやら(都会を中心に⁉︎)バイトや歩合制で行なっている訪問リハビリも多く、この様なセラピストや事業者は卒業=収入減、利用者もセラピストが来てくれた方が安心…誰も困らないサイクルがある事を知りました。
もちろん仕方ないよね…で終わらせたくはありません。
長々とすいませんでした。ブログを読ませて頂き、すごく共感を感じたのでコメントさせてもらいました。

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WOLF

コメントありがとうございます。
まず、ブログを読んで頂き感謝申し上げます。
そして、共感を得て頂き光栄です。
世間では『リハビリをやっていると治る』と思われており、理学療法士が魔法使いのような扱いになっているなっている気もします。
コメントの冒頭で仰られているように、『新規を断るなんて‥‥』という想いが私にもありました。
本当に訪問リハビリが必要な人がいつ来ても良いように当事業所では常にスケジュールに空きを設けています。
どうしたら効果的に空き枠を作れるかを考え、併設している回復期病棟との兼務体制を構築し、暇な時間には回復期病棟に応援に体制も作りました。
ケアマネさんや他職種・または同職種にも本当のリハビリを伝えていくことは本当に大切なことだと思います。
しかし、私は理学療法士としてまだまだ未熟であり、肩書きもありません。
偉い人が言えば従うケアマネさん。
私が言うことは聞いてくれない。
そんな劣等感から勉強し、地域に出て、自分を知ってもらうことからはじめてみました。
そしたら少しずつ話を聞いてくれるようになりました。
また、少しずつ自信もつきました。
しかし、まだまだです。
みのりんぱぱさんのように共感して下さる方がいること・そしてこのようなコメントを頂けることが本当に嬉しいですし、頑張ろうという気持ちにさせてくれます。
一緒に訪問リハビリの概念・リハビリの卒業・介護サービスの卒業・自立支援を少しずつ広めていきましょう。
またご指導の程どうぞよろしくお願い致します。
こちらこそ長文失礼いたします。
本当にありがとうございました。

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みのりんぱぱ

丁寧なご返答、ありがとうございます。ブログ、これからも楽しみにしております。

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