自立支援に向けた事業者へのインセンティブ(案)に対する思い

平成29年8月23日に行われた第145回社会保障審議会介護給付費分科会において『介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ』について議論が交わされました。

インセンティブとは?

インセンティブという言葉は御存じでしょうか?

インセンティブとは、

①目標を達成するための刺激。誘因。

②企業が販売目標を達成した代理店や、営業ノルマを達成した社員などに支給する報奨金。

【引用】三省堂 大辞林

自立支援に向けた事業者に対してやる気(報酬)を与えようということです。

現状の介護報酬

平成28年11月の未来投資会議においては、

『現行の介護報酬においては、要介護度の改善に伴って報酬単価が低くなることがあり、要介護者の状態を改善させることで事業所の収入が減少することがあるため、その取組に対するディスインセンティブが生じているとの指摘があり、自立支援よって要介護度を改善させた事業所に対してインセンティブ措置を導入すべき』

との意見が出されました。

ここに出てくるディスインセンティブとは、やる気を減少させるものと考えて良いと思います。

未来投資会議において、翁百合氏は、

『高齢者の要介護度を改善すると介護報酬が下がってしまう現行の制度を改め、自立支援によって要介護度を改善させた介護事業所に対するインセンティブ措置を導入すること。』

と発言しています。

現行の介護報酬は例えば、通常規模型通所介護(7時間以上9時間未満)の場合ですと、以下のように介護度が重いほど報酬が高くなります。

したがって、介護度が改善されると、事業所に入る介護報酬が下がってしまいます。

要介護 1656単位/日
要介護 2775単位/日
要介護 3898単位/日
要介護 41021単位/日
要介護 51144単位/日

この報酬体系ですと、自立支援を後押しする報酬体系とは言えないという訳です。

自立支援に資する介護に対する意見

『自立支援よって要介護度を改善させた事業所に対してインセンティブ措置を』という意見に対して、他の意見もあります。

全国老人福祉施設協議会は、

『特養において利用者の意に反して栄養を投与し、リハビリを重ね、歩行器で歩かせることを強いるような「QOLの向上を伴わないADL回復の目的化」が促進されるリスクが危惧されます。』

日本社会福祉士会は、

『要介護状態を悪とする偏見を助長するとともに、適切なサービス利用を阻害し、安心して介護サービスを利用できなくなる恐れがあります。』

このような意見もみられています。

現時点での決定事項

平成29年4月14日の未来投資会議における安倍総理大臣の発言では、

『老化は避けられませんが、日々の努力で介護状態になることを予防できます。いったん介護が必要になっても、本人が望む限りリハビリを行うことで改善できます。(略)そして、効果のある自立支援の取組が報酬上評価される仕組みを確立させます。』

とあります。

その後の閣議決定は以下の通りです。

・次期介護報酬改定において、効果のある自立支援について評価を行う。

・自立支援に向けた介護サービス事業者に対するインセンティブ付与のためのアウトカム等に応じた介護報酬のメリハリ付け(中略)について、関係審議会等において具体的内容を検討し、2018 年度(平成30 年度)介護報酬改定で対応する。

まだまだ残された課題はあるようですが、少しずつ現実的になってきています。

介護サービスの質の評価に関する地方自治体における取組の例

既に、介護サービスの質の評価に関する調査研究事業も行われています。

最後に‥‥個人的な意見

『介護サービスの質の評価』

この評価は大いに必要だと思います。

しかし、何を評価の基準とするのか?

とても難しい課題であると思います。

職場という小さなフィールドにおいても同じだと思います。

私は理学療法士ですが、理学療法士として

『単位を増やすこと=売上をあげる』

ことが評価されるのか?

『売上は少なくても患者を良くする』

ことが評価されるのか?

『部下を教育、勉強する』

ことが評価されるのか?

何が正解なのか正直分かりません。

きっと平成30年度介護報酬改定における事業者へのインセンティブも僅かではあると思います。

その僅かに反応する事業所は増えるのでしょうか?

平成27年度介護報酬改定においても、社会参加支援加算が新設されました。

この加算もアウトカム評価(結果;サービスによりもたらされた利用者の状態変化等)であり、訪問リハビリ・通所リハビリでのサービスの質を踏まえた介護報酬です。

私の事業所でも算定していますが、書類や手間等を考えた場合、事業所運営における利益としては算定しない方が効率が良いのが明らかです。

私は、介護保険制度を存続させるためには、基本報酬を一気に下げて、様々な加算やアウトカム評価を大きく増加させた方が良いと思います。

訪問リハビリの場合、基本報酬を大きく下げて、短期集中加算を大きく増加させるようにする。卒業させたら大きな報酬。という感じです。

しかし、介護保険法の基本がある以上、このような無茶な制度改定は難しいと思いますが‥。

少なくても、私は自立支援に向けた事業者へのインセンティブは必要だと思います。

少しでも良い方向に動いてくれることを期待しています。

しかし、もう一点疑問点があります。

私の所属している訪問リハビリ事業所は、提供期間が3~6ヶ月での卒業を目指しています。

基本的に認定有効期間が3ヶ月~24ヶ月(更新申請)である為、『要介護度の改善=更新』を待たずに卒業という状態です。

恐らく、平成30年度介護報酬改定のインセンティブ評価項目の一つに『要介護度の改善』が挙げられてくると思います。

しかも、平成30年4月1日からは更新申請の設定可能な認定有効期間の範囲が3~36ヶ月となる予定です。

今まで、3~6ヶ月で卒業させてきましたが、これからは、1~3年後の更新結果を待ってから訪問リハビリを卒業しなければいけなくなるのでしょうか?

もし、そうなってしまっても、必要な時に必要なだけの適宜適切な効果的なリハビリテーションをコンセプトに意味のある訪問リハビリを展開させていきたいと思います。

2 Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。