リハビリ

訪問リハビリの楽しさと目的【田中めぐみさんへのインタビュー】

訪問リハビリインタビュー9人目は田中めぐみさんです。

過去の訪問リハビリインタビューはこちらをご参照ください。

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田中めぐみさんのプロフィール

・理学療法士
・栃木県在住
・ブログ「いつだってシンプル。
田中めぐみさんのTwitter
田中めぐみさんのInstagram

訪問リハビリの楽しさ

杉浦:田中さんは訪問リハビリでどのくらい働いているのですか?

田中さん:今年の9月で2年になりました!
今理学療法士5年目です。
私の職場は、栃木県の北部に位置する田舎の小さな掘っ建て小屋みたいな場所にあります(笑)
昔はレストランやハーブ園だった場所を使っているんですよ!
診療所開業から3年経ち、スタッフも増えて増築を繰り返していますが、元の建物のベースは変わらないので、台風が来たりすると次の日職場が飛んで行ってないかな?と心配になります(笑)
でも、そんな外見を繕わないオリジナリティがある職場で楽しく仕事させていただいています!

杉浦:外見を繕わないオリジナリティ!素敵です!
最近は台風が多いので心配ですねっ!
訪問リハビリに携わって2年なんですね。
訪問リハビリの「楽しさ」が分かってきた頃じゃないですか?
どんな時に「楽しい」って思いますか?

田中さん:楽しさですね!
理学療法士になりたての頃は回復期病院に勤務していたので、勤務中に車で外に出られる環境っていうだけでワクワクしてます!
利用者さんのご自宅に向かいながら、季節が変わっていく風景を感じたり、時には大好きな音楽をかけてテンションを上げたり(笑)
そんな時間からもう楽しんでますね!
利用者さんと関わるうえでは、利用者さんがやりたい!と口にしてくれたことを実行するために、一緒に計画を立てている時間が楽しいです!
遠足や旅行の前のウキウキみたいな、、
共感してもらえますかね?

杉浦:私も車で外に出るという好奇心で訪問リハビリやってみたい!って正直最初思いました(笑)
季節を肌で感じられるのは訪問リハビリの業務の特徴かもしれませんね!
私も移動時間に色々考えることが好きです。
利用者さんと関わる上で一緒に計画を立てている時間ですね!
遠足や旅行の前のウキウキ!
一緒に楽しんでいる様子が浮かんできます。
具体的に何かエピソードとかはありますか?

田中さん:楽しかったし嬉しかったエピソードといえば、以前、物理的にベッドからお一人で下りられない利用者さんが、節句の時期に「草もちを作りたいなぁ。でももう10年も台所なんて立ってねぇし、第一立ってられないし無理だよなぁ」って言ったんですよ。
その翌日、二人で段取りを立てて、その1週間後にベッドに座って草もちづくりを実行しました。
衛生面のこと考えると、使い捨ての手袋とか使うべきなんですけど、蒸かして持って行ったお餅のあったかさとか、粘り気とか感じてもらいたくて、素手でやってもらいました。
作り終わったら、ご本人が感極まって泣いちゃって、私もつられてもらい泣きして抱き合ってその幸せな時間を共有できたことがすごく楽しかった思い出です。
その方は、その1カ月後に突然の熱発でこの世を去りました。
私が訪問に来て、一番最初に上司から引き継いでもらった利用者さんだったんですが、いつもわがままを言わず「めぐみちゃんが来てくれるだけで幸せだ」と言ってくださっていた方だったので、お願いを叶えてあげられて良かったなと思っています。

杉浦:素晴らしいエピソードですね!
きっとその利用者さんは幸せな時を過ごせたはずですね。
衛生面とかも大切ですが、「想い」も大切な気がします。

田中さん:杉浦さんはどんなときに楽しさを感じますか?

杉浦:私は以前からブログでも何度か述べていますが、訪問リハビリは「きっかけを与えるサービス」だと思っています。
僅かな関わりで「きっかけ」を与え、その人の生活を変えることができた時に「役に立てた」「良かった」と私自身も幸せになります。
田中さんが仰られたように、「想いを形に」「したいを形に」できる最適な環境が訪問リハビリだと思っています。
「〇〇をしたい!」と利用者さんが仰ったら、否定をせずにまずは「やってみましょう!」と伝え、どうやったら実現できるかを考えます。
何でも方法を変えれば意外とできちゃうものだなーって実感しています。
「利用者さんがやりたい!と口にしてくれたことを実行するために、一緒に計画を立てている時間が楽しい」
一緒かもしれませんね(笑)
訪問リハビリはじめ、生活期のリハビリテーションって、何のために理学療法士として利用者さんに関わっているのか?リハビリを提供しているのか?をとても勉強できるステージだと思います。

リハビリテーションって何のためにやっていますか?

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杉浦:すごい質問になりますが(笑)
何のためにリハビリって行うと思いますか?

田中さん:なんのためにリハビリを行うか、ですか。
目的の部分ですよね。
うーん、難しい。
上手く言葉にできるかな。。
私が日頃思っている大きな目的は2パターンあります。

杉浦:どんな2つのパターンですか?

田中さん
①【笑顔で生活してもらうため
②【やりたいことをやり残したまま人生を終えないため
ということを大事にしています。

笑顔で生活してもらうために

杉浦:とても大切なキーワードが入っている気がします。
①の【笑顔で生活してもらうために】って具体的にどんなことですか?

田中さん心からの笑顔ってやっぱり最強だと思うんですよ!
嬉しいから笑うんじゃなくって、笑うから嬉しくなる身体心理学っていう説があるほど、笑ってると良いこと起きるんです。
だから、利用者さんにも笑っていて欲しいです。
笑顔は伝染するから、まずは私が笑顔でいる。
そうすると利用者さんも笑顔になって、少しずつポジティブが増えていく。

杉浦:「笑顔は伝染する」って私も思います。笑顔でいれば相手も笑顔になりますし、自分が悲しい顔をしていれば相手も悲しい顔になってしまいますので、自身がまず笑顔でいるって本当に大切なことだと思います。

田中さん:そうですよね。
そこから「◯◯やってみようかな」ってなってくれたらすごい嬉しいですね。
それぞれの利用者さんの豊かな人生のキャンバスに、いろんな色を塗ることをサポートしたい、そんな感じかもしれません^^
ただ、訪問リハビリってその方の生活の場が変わりにくい分、リハビリを終了するタイミングってすごく難しいなーと思っていて。
前職の回復期病院は、退院がゴールだから退院するまでリハビリのパターンが多いけど、そうなると生活期はその方が亡くなるまで?ってなると、なんとなく違う気がするんですよ。
そう思うと、ある程度ゴールを決めて介入しなければいけないし、セラピストに依存せず自立してもらうためのリハビリを意識してます。

杉浦:生活期のリハビリのゴール設定は本当に難しいなぁと私も感じております。生活期のリハビリを提供する中でゴール設定をする際に意識していること等はありますか?

田中さん:そのためには、ご本人・ご家族とサポートチームが納得がいくまで話し合って目標を決める、ということを最近ですが意識するようになりました。
もちろん、やりたいと思ってるけど中々一人じゃできないなぁ…ってことは全力でお手伝いしますし、その方やご家族を地域で支えていくために、他のサービスを繋げたり、訪問は終わりだけど何か心配があれば気軽に連絡してくださいね!というスタンスは忘れずに。
直接支える形ではないけれど、寄り添いは忘れずに自立した生活に向けて進めていきたいなぁと思っています。

杉浦:「納得がいくまで話し合う」「何か心配があれば気軽に連絡してください」「寄り添いは忘れない」は自立支援には大切なキーワードな気がします。そんな田中さんに関わって頂いている利用者さんや地域の方々は幸せですね!

やりたいことをやり残したまま人生を終えないため

杉浦:②つ目の【やりたいことをやり残したまま人生終えさせないため】についてもう少し詳しく聞いても良いですか?

田中さん:私は母親を乳がんで亡くしていますが、最期の1ヶ月は本人の大好きな自宅で過ごしました。
母は40代で私も15歳とかで、親として女性として最期まで弱味を見せたくなかったんですよね、「トイレだけは意識がなくなる前までは自分で行かせて」って。
私は最期の2週間寮生活していて離れていたので、看取りしかできませんでしたが、母は亡くなる前日まで歩いてトイレに行けたようです。
当時、訪問看護はあっても、末期がんにリハ職が入るなんて概念はおそらくありませんでした。
だからこそ当時は家族ですごく考えました。
母が好きなベランダにある花をベッドで寝ていても見られる場所、陽の光を浴びられる場所、かつトイレまで最短距離にベッドを置く。
それは家族が作り上げた母に対してできる立派なリハビリテーションだったと思っています。

杉浦:大切な母親のために家族で作り上げた素晴らしいリハビリテーションですね。
辛かったとは思いますが、この経験が現在の田中さんのリハビリテーションの原点かもしれませんね。

田中さん:そんな経験があったおかげで、訪問でも役に立つことがありました。

杉浦:どんな時に訪問リハビリで役に立ったのか教えて頂いても良いですか?

田中さん:余命2週間で自宅に帰ってこられた末期がんの女性を担当した時の話です。
退院初日から介入させていただき、家族がみんなで囲める場所にベッドを配置。
いつどうなってもおかしくないと主治医に言われている状況で、2回目の晴れた日に車椅子に乗り、大好きだった庭の畑に行って家族写真を撮りました。
ご本人もご家族も望んでいたことだったので、皆さん笑顔で過ごすことができました。
翌日の介入でトイレに行きたい・行かせたい本人と家族に向けて、痛みの少ない移乗方法をお伝えして、家族総出で練習しました。
その週末に状態が落ちて会話もできなくなり、数日後にお亡くなりになりました。
その後ご家族とお会いした時に外に出られたこと、写真撮ってくれたこと、本当に嬉しかった。一生の記念。めぐちゃんのことは一生忘れない。と言ってくださいました。
亡くなった方には、私が一緒にさせていただいた行動に対してどう思っているかはもう聞くことができません。
でも命の炎が灯っている間に「外に出て畑に行きたい」という希望を叶えられて良かったし、ご家族が出来る限りやりきった…と少しでも後悔を減らしてお別れできたことは、関わらせていただいてよかったなと思う瞬間でした。

杉浦:本当に素晴らしいリハビリテーションとしての関わりをされていますね。いくつもの希望が叶い、ご本人様も幸せだったはずです。「ご家族が出来る限りやりきった…と少しでも後悔を減らしてお別れ」することでご家族様へのケアもされているのですね。

田中さん私は母にできなかった沢山のことを、これから関わらせていただく様々な人にしたいと思っています。
命が尽きてしまったら、声も想いも聞けないから、終末期の方に関しては、生きているうちにやりたいことを1つでも多く叶えるためのお手伝いをしたいなーと思っています。
ということで、目的と私の願いを混同させていいかわかりませんが、笑顔で過ごして欲しいことと、生きているうちにやりたいことはやりきって欲しい!!という思いのもと、訪問させていただいています^^

田中めぐみさんのブログ「いつだってシンプル。」

私(杉浦)も田中めぐみさんのブログの愛読者です。

今回のインタビューのような想いが詰まった温かいブログです。

是非、ブログの方にも足を運んでください。

いつだってシンプル。

W-Festival開催!

今回インタビューさせていただきました田中めぐみさんの想いをのせたイベントの紹介です。

日時:平成30年12月16日(日)9:45〜16:30
会場:埼玉県共同参画推進センターwith youさいたま

詳細はこちら

ABOUT ME
杉浦 良介
静岡県出身・在住の理学療法士(PT)です。 訪問リハビリの分野が大好きです。 人と人を繋ぐ理学療法士を目指しています。 訪問リハビリが好きな人・訪問リハビリについて知りたい人・繋がりたい人・悩んでいる一般の人…ドシドシお問合せ下さい! 相談されると喜んで返信します(笑) まずはお問い合わせから連絡をお願いいたします。 Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いします。