リハビリ

きっと若いセラピストは介護保険制度の成り立ちを知らない

きっと若いセラピストは介護保険制度の成り立ちを知らない

私は現在、29歳です。(1987年生まれ)

理学療法士の免許を取得したのは、2010年(平成22年度)4月になります。

経験年数は7年余りとなります。

現在は2017年(平成29年度)の為、私が理学療法士になってから今までの間に大きな介護報酬改定が二度ありました。

誰もがそうだと思うのですが、理学療法士になったばかりの時は初めての社会人ということで日々の業務に精一杯で、介護保険下で働いていたとしても「介護保険制度?何それ?」という状態だったと思います。医療保険下で働く人は尚更だと思います。

しかし、それは当たり前なことだと思います。

私もそうでした。平成24年度介護報酬改定はほとんど良く分からないまま経過しました。

私は真面目に学生生活を送っていなかったせいもあるかと思いますが、学生時代に介護保険制度に関して勉強をした記憶がございません。しかし、必ずどこかでしているはずです。

現在から約2年前、理学療法士5年目を迎えた私は、訪問リハビリの立ち上げという業務も任せられていた為、2015年(平成27年度)4月施行の介護報酬改定は非常に注目していました。

しかし、その時の私にとっては2012年(平成24年度)4月の介護報酬改定施行後の形が、介護保険制度の『元々あったもの』という印象です。

そもそも、介護保険制度の創設は今年30歳を迎える私が中学生の時です。まだまだ、できたばっかりであり、それがどんどん変化しています。

日々の業務で精一杯な状態である若いセラピストたちが『あえて介護保険制度』を勉強するという人も少ないと思います。

私は他の項でも介護保険制度は大切であると伝えました。

介護保険制度は国の方針であり、理解する必要があると思います。理解するということはその背景である日本の現状を学ぶことになると思います。

今回は、介護保険制度創設から現在にかけて簡単に分かり易く説明をします。

平成30年度医療介護同時改定をより深く理解する為にも、復習の意味を込めて再度学習して頂けたらと思います。

介護保険制度創設

介護保険制度は2000年(平成12年度)4月に施行されました。

それまで家族や近親者が行ってきた介護を、社会で行うという大きな変化がなされました。

日本の高齢化率の上昇に伴って、介護を必要とする高齢者の増加、介護を必要とする期間の長期化など介護に対するニーズが今後も増大していくことが予測されます。さらに、家族構成も大家族から核家族へと変化し、家族介護者の高齢化も進んでいます。要介護者を支える家族介護体制が脆弱化してきています。

そこで、国民皆で介護を要する高齢者を支え合う仕組みとして介護保険制度が創設されました。介護保険制度は、要介護高齢者に対して身の回りの介護をするということだけではなく、要介護高齢者の自立を支援することを理念としています。

また、介護保険制度は年金保険や医療保険と同じ社会保険の仕組みとなります。社会保険とは、保険の仕組みを使って財源を確保し、必要に応じて給付する制度です。

40歳以上の人は毎月一定額の介護保険の保険料を納付しなければいけません。納付額は全国平均で2000~2002年度は約2911円でしたが、2012~2014年度では4972円と約70%の増加となり、今後2025年には約8200円になることが予測されています。

2006年(平成18年度)4月介護報酬改定

介護保険は、施行から5年後を目途に、必要な見直しを行うこととされていました。

社会保障審議会介護保険部会にて、「制度の持続可能性」「明るく活力のある超高齢社会の構築」「社会保障の総合化」を基本的視点として検討を重ね、法改正により主に以下の通り見直しを行われました。

【予防重視型システムへの転換】

要介護者への介護給付と分けて、要支援者への給付を「予防給付」として新たに創設しました。そして、要支援者のケアマネジメントを、「地域包括支援センター(介護予防支援事業所)」で実施。また、市町村が、介護予防事業や包括的支援事業などの「地域支援事業」を実施するようになりました。

【施設給付の見直し】(2005年10月施行)

介護保険施設など施設等の食費・居住費を保険給付の対象外(全額自己負担)にしました。一方、所得の低い利用者への補足給付を設けました。

【新しいサービスの創設、制度運営の見直し】

その他、地域密着型サービスの創設や、介護サービス情報の公表、負担能力を細かく反映した第1号被保険者の保険料の設定などを行いました。

2012年(平成24年度)4月介護報酬改定

 施行後10年が経過し、サービスの利用者数が、制度創設当初の約3倍になるとともに、重度の要介護者や医療ニーズの高い高齢者の増加、介護力の弱い単身世帯や高齢者のみ世帯の増加などへの対応と、これを支える介護人材の確保等が緊急の課題となりました。

そこで、高齢者が地域で自立した生活を営むことができるようにするために、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の実現を図ることとなりました。

社会保障審議会介護保険部会にて検討を重ね、法改正により主に以下の通り見直しを行いました。

【医療と介護の連携の強化等】

重度や単身の要介護者等に対応できるよう、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)を創設しました。

また、予防給付と生活支援サービスの総合的な取り組みである「介護予防・常生活支援総合事業」を、地域支援事業の一環として、市町村の判断で実施可能としました。

【介護人材の確保とサービスの質の向上】

介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等による痰の吸引等の実施を可能としました。また、介護サービス事業所における労働法規の遵守を徹底し、事業所指定の欠格要件及び取消要件に労働基準法等違反者を追加しました。

【高齢者の住まいの整備等】

サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進。有料老人ホーム等における前払金の返還に関する利用者保護規定を追加しました。

【認知症対策の推進】

市民後見人の育成及び活用など、市町村における高齢者の権利擁護を推進するとともに、市町村の介護保険事業計画において、地域の実情に応じた認知症支援策を盛り込むこととしました。

【市町村(保険者)による主体的な取り組みの推進】

介護保険事業計画と医療サービス、住まいに関する計画との調和を確保。地域密着型サービスについて、公募・選考による指定を可能としました。

2015年(平成27年度)4月介護報酬改定

 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律による法改正。

持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行うこととされました。

【地域包括ケアシステムの推進】

高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるようにするためには、介護、医療、生活支援、介護予防を充実させる為、以下の改正が行われました。

<サービスの充実>

・地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の充実

・在宅医療、介護連携の推進

・認知症施策の推進

・地域包括ケア会議の推進

・生活支援サービスの充実、強化

<重点化・効率化>

・全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に移行し、多様化を図る

・予防給付のうち訪問介護、通所介護について、市町村が地域の実情に応じた取り組みができる介護保険制度の地域支援事業へ2017年度末までには移行する

・既存の介護事業所による既存のサービスに加えて、NPO、民間企業、ボランティアなど地域の多様な主体を活用して高齢者を支援する

・特別養護老人ホームの新規入所者を原則要介護3以上に限定する

【費用負担の公平化】

低所得者の保険料軽減を拡充。また、保険料上昇をできる限り抑えるため、所得や資産のある人の利用負担を見直すために、以下の改正が行われる。

・一定以上の所得のある利用者の自己負担を引き上げる

・2015年8月より、一定程度以上の所得のあるものを2割負担とする

・低所得の施設利用の食事、居住費を補填する「補足給付」の要件を変更する

2018年(平成30年度)4月介護報酬改定

 【地域包括ケアシステムの深化・推進】

・自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進(介護保険法)

・医療・介護の連携の推進等(介護保険法、医療法)

・地域共生社会の実現に向けた取組の推進等(社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法)

【介護保険制度の持続可能性の確保】

・割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割とする。(介護保険法)

・介護納付金への総報酬割の導入(介護保険法)

【介護報酬改定の今後の流れ】

・改定率決定:平成29年12月下旬

・諮問~答申:平成30年1~2月

・単位や要件など公表:平成30年3月上旬

・厚労省改定Q&A:平成30年3月下旬

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ABOUT ME
杉浦 良介
静岡県出身・在住の理学療法士(PT)です。 訪問リハビリの分野が大好きです。 人と人を繋ぐ理学療法士を目指しています。 訪問リハビリが好きな人・訪問リハビリについて知りたい人・繋がりたい人・悩んでいる一般の人…ドシドシお問合せ下さい! 相談は有料です。 リアル&オンラインサロンでは無料となっております。 個別コンサルも行なっております。 まずはお問い合わせから連絡をお願いいたします。 Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いします。