【他職種向け】食事に関する訪問理学療法士の視点

食欲は人間の3大欲求の一つです。

『食べる』ということは、多くの人が『楽しみ』と感じているのではないでしょうか?

やる気がない時、美味しいものを食べたら元気がでる!

嫌なことがあった時、美味しいものを食べたら、気持ちがリフレッシュする!

みんなで美味しいものを食べたら、笑顔になり話が弾む!

食事には様々な素晴らしい効果があると思います。

私は以前、簡単な手術をした時、数週間の絶食を経験しました。

その後にはじめて口にした『インスタントの味噌汁』の味は今でも忘れられないくらい素晴らしく美味しいものでした。

普段、何気なく行っている『食べる』ということですが、患者さんにとっては本当に大切なことだと思います。

リハビリの視点での『食事』について解説していこうと思います。

食事動作とは

食事動作は、食べ物を咀嚼(噛む)し、嚥下(飲み込む)するだけではなく、

①食べ物を認知し判断する、②食べ物を口へ運ぶ、③咀嚼・嚥下する

の3つのポイントが大切になります。

食事における福祉用具(自助具)

食事は箸やスプーン、フォークなどを使用し、口に運ぶという動作が必要です。

何らかの身体機能低下が原因により、

通常の箸やスプーン、フォークでは食べ物を口まで運べないということがあります。

そんな時は福祉用具(自助具)を利用することで、

1人で食べられるようになるということが可能になることがあります。

自身で食事をするということは、様々なメリットがあります。

例えば、介助者が不要になる。自分の好きなペースで好きなものを食べられる。

などです。

選ぶ時の食事動作で見るポイントは、

①挟む、②はがす、③引っかける、④すくう、⑤持つ、⑥握る、⑦動かす、⑧のせる、⑨こぼし、⑩重さ…などです。 

福祉用具(自助具)を紹介をします。

一番簡易的なものは『柄の太い曲げられるスプーン』です。

Amazonで600円から購入可能です。


斉藤工業 曲げれるユニバーサルスプーン スプーン 大 丸形18mmスポンジ付き

このように通常のスプーンに取り付けるだけのものもあります。

細いスプーンやフォークは手の力が無い人にとっては持ちにくいものです。

柄を太くするだけで食べれるようになる方も多くいらっしゃいます。

『お箸で食べたい!』という方にはこのような商品もオススメです。

スプーンは嫌という方も多くいらっしゃいます。

片麻痺などにより利き手を交換した方などにも適しています。


ウインド 箸ぞうくんII 赤色(あずき色) 左手用 全長約19cm 食器洗浄機・乾燥機OK 日本製

麺がしっかりと掴むことができない。こぼしてしまうという方にはこのエジソンのフォークがオススメです。

フォークの間に穴げ空いており、麺がつるっと落ちにくい構造になっています。


エジソンのフォーク Lサイズ (ケイジェイシー) (箸・スプーン類)

箸やフォークだけでなく、合わせて食器を工夫することも重要なポイントです。

食器がテーブル面と滑ってしまわないように、食器とテーブルの間に滑り止めマットを敷くなどの工夫も必要です。

食器の形だけでなく、大きさも重要です。身体状態によっては小さい器より大きな器の方が適している場合もあります。

【すくいやすい食器】リズム(メラミン樹脂) 小鉢 ◆大 [MS-43RZ]

今回紹介したものはほんの一部です。

現在の身体機能や予後を予測してその方に合った福祉用具(自助具)を選ぶ必要があります。

困った時はリハビリ専門職に相談してみましょう。

もしかしたら、道具一つで自立支援に繋げられるかもしれません。

食事における介助のポイント

様々な理由で自己摂取困難な場合は、食事を介助する場合もあります。

食事を介助する上で注意する点は以下の通りです。

①まず、食事の動作をしっかりと理解する

食事のある場所(食卓)まで移動し、食事をし易い姿勢をとる。(座る)

スプーンや箸を操作して食べ物を口まで運び、咀嚼(噛む)して、嚥下(飲み込む)動作からなることを理解することが必要です。

②食事の時間の把握

食事時間は一般的に30分間程度が適当です。

もし、一人で食事の動作が可能であったとしても、この30分間を超える場合は介助が必要になります。

30分間で食事が終える為には、どの肢位(座位?臥位?)が適切か?、どの食器や適切か?、など原因を考える必要があります。

③自動介助方法のポイント

介助をする場合、残存機能を最大限発揮することが大切です。

例えば、スプーンを持つ力がある方に対しては患者さんにスプーンを持って頂き、介助者は肘などを把持し、口へ食べ物を運ぶ介助をすることが大切です。

④食事の際の配慮について

患者さんの食事は患者さんの気持ちを一番に考える必要があります。

認知症や高次脳機能障害の方には、静かな場所で食事をさせる。

本人が希望する食べる順番や食べる量などを意図的に感じ取り、そのペースに合わせて介助をする。

認知症の場合は、例えばワンプレートなどにして混乱を招かないようにする。調味料などは片付けておく。

などです。

患者さんごと異なりますが、より良い食事ができるように工夫をしましょう。

食事の姿勢のポイント

食事の姿勢は非常に重要です。

可能である方は、車椅子ではなく、椅子に深く座り、足底が床に着く椅子で食事を摂るようにしましょう。

しっかりとした座位姿勢で食事を摂ることで、バランスが安定し、下肢筋活動も促進され、咀嚼(噛む)力も強くなり、唾液の分泌も促進されます。

椅子に座ることができずに、車椅子で食事をする場合は、フットサポートやレッグサポートを解除し、足底がしっかり床または踏み台等に設置するようにしましょう。

また、しっかりとした座位姿勢をとる為に、背中にクッションを入れる等の工夫も必要です。臀部の後方にクッションを入れることで重心を前方へ移動することができ、後方に倒れにくくする効果もあります。

片麻痺の方には、座位を安定させる為に、片方の臀部にクッションを敷くという方法もあります。

ベッドで端座位をとる場合は、マットレスが柔らかすぎると臀部が沈み込み座位が安定しない為、座布団を敷くなどの工夫をしましょう。

頸部も重要なポイントで、軽度前屈できる姿勢とし、頸部が後屈しないような姿勢にすることが大切です。

『座る』姿勢だけでなく、テーブルの高さや形も重要です。

テーブルが高すぎると肩や肘など上肢の関節に痛みを誘発する可能性もあります。

また、テーブルがが低すぎると疲労や動作意欲の低下などに繋がる可能性もありますので注が必要です。

身体機能の低下がみられる場合は、1cmの変化で『できる』『できない』が変わります。

食事は毎日3回摂るものですから、リハビリとしても自己摂取して頂くことがより良い生活に繋がると思います。

テーブルの形も様々なものがあります。

中央突出型や右突出型、左右突出型などがあります。

中央突出型は、食べ物まで手を伸ばす動作が困難な場合や食事を食べこぼし易い場合に適応となります。

左・右の突出型は上肢を適切な位置に移動・保持が困難な場合に適応となります。

失調障害の企図振戦(目標物に近づくにつれて振える)が出現する場合は両肘をテーブルに固定することも一つの工夫の方法です。

食形態

食形態は以下のようなものがあります。

常食、きざみ食、軟菜食(ソフト食)、ミキサー食、嚥下食、流動食

嚥下障害により、誤嚥性肺炎を引き起こす場合もありますので、食形態については慎重に選ぶ必要があります。

嚥下障害の評価ポイント

①自発的に食べない、②口腔内の乾燥、③口から食物がこぼれる、④噛みづらい、⑤飲み込みづらい、⑥口腔内に食べ物が残る、⑦食事時間の延長、⑧体重の減少、⑨むせや咳が生じる、⑩食べた後喉に違和感がある、⑪痰が増加、⑫発熱を繰り返す、⑬夜間に咳込む…。

また、簡単に行える嚥下テストとして、『反復唾液嚥下テスト(RSST)』というものがあります。

反復唾液嚥下テスト(RSST)とは、30秒間で空嚥下(唾液を飲み込む)を繰り返し行って頂くテストです。2回以下が異常となります。

嚥下障害が見られたら、在宅生活をされている場合は、

VE(嚥下内視鏡検査)やVF(嚥下造影検査)ができる医療機関を受診し、適切な食形態を判断してもらうことも大切だと思います。

VE(嚥下内視鏡検査)とは?

内視鏡を用いて実施する嚥下機能検査です。

VF(嚥下造影検査)とは?

バリウムなどの造影剤を含んだ食品をX線透視下に嚥下させ、嚥下運動や適切な食形態を評価する検査です。

嚥下(飲み込み)のメカニズム

食べ物を見て、取り込み嚥下する摂食の過程は

先行期(認知期)→準備期(咀嚼期)→口腔期→咽頭期→食道期

の5期に分けられます。

先行期:食物を認識する

準備期:摂食・咀嚼・食塊形成

口腔期:食塊が舌の上から咽頭に送り込まれる

咽頭期:食塊が咽頭から食道に送り込まれる

食道期:食塊が食道から胃に送り込まれる

食事に関するリハビリの例

①座位保持訓練(バランス・耐久力)

②肩甲帯・上肢・手指の機能訓練

③環境調整、食事姿勢の指導

④福祉用具(自助具)の検討

⑤巧緻動作の自主練習指導

⑥摂食・嚥下訓練  …などなど

まとめ

今回は食事動作における『リハビリ視点』をなるべく分かり易く簡単に説明しました。

私が行っている訪問リハビリでは実際に食事の風景をみる機会が少ないです。

デイサービス・訪問介護・訪問看護の皆様。

介助をしているご家族様。

リハビリ専門職は食事についても上述したような視点で細かく評価をし助言をすることができます。

在宅療養における食事動作は多職種連携が大切だと思います。

困った時、正しいか分からない時は

リハビリ専門職の知識・助言を借りるという事も良いのではないでしょうか?

身近にいるリハビリ専門職がきっと力になってくれるはずです。

3大欲求である『食事』の楽しみを、多くの方ができる限り継続できることを願っております。

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