『入院から在宅へ』回復期リハビリの退院支援のポイント

私は経験年数7年の理学療法士です。

しかし、一度も入院のリハビリテーションに関わったことがありません。

通所リハビリ2年→訪問看護3年→訪問リハビリ2年という経歴です。

その為、在宅のことは良く理解しております。

回復期の病棟が同一法人内にある為、回復期の現状をみていると、

在宅復帰したら何の意味があるのだろうか?

というようなリハビリを行っている理学療法士や作業療法士がゴロゴロいます。

回復期リハビリで働く職員は新人が多いという傾向があります。

基礎を学ぶ為には病院内で働くという事が一番良いと思います。

色々なステージのリハビリを経験した方が良いとは思います。

しかし、1年間で2~3箇所もみるということは現実的に困難です。

今回は、訪問リハビリに関わり、在宅復帰後の生活を実際の現場で見ている理学療法士の視点で

入院から在宅へ上手に繋ぐコツ

や『退院支援のポイント』を伝えていきます。

はじめに

勘違いをしないでいて欲しいです。

退院は

ゴールではなく、スタート

です

機能を改善させて、退院をさせる。

これだけで成功ではありません。

退院後、患者さん・ご家族さんにより良い生活を送って頂くことを考えてリハビリを実施して欲しいです。

 

退院後の生活を知らなければ

入院時に正しいリハビリは

できるはずがない!

回復期病棟でリハビリを実施し、自宅へ退院させる。

回復期病棟でリハビリを実施し、施設に退院させる。

繋ぐ先を知らないで、効果的なリハビリはできますでしょうか?

とても難しいと思います。

安心してください!!

わざわざ、異動しなくても大丈夫です。

退院後の生活を紹介します。

入院から退院までの生活機能の流れ

これは生活機能の変化の例です。

発症後、ガクんと生活機能が低下し、徐々に回復していきます。

そして、退院を迎えるのです。

退院直後、半分以上の人は生活機能が低下します。

その理由は、退院後様々な変化が起きるからです。

退院時変化する4つのこと

退院時に変化する主な4つのことは

①生活環境

②関わる専門職

③リハビリ

④本人と家族の精神状態

です。

では、一つずつ説明をしていきます。

本人と家族の精神状態の変化

退院時、本人は孤独感と不安感を感じることがあります。

また、ご家族さんは焦燥感と負担感を感じることがあります。

本人は、入院中にできていたことができなくなり、 精神的にも落ち込みが強くなります。

ご家族さんは入院中に思い描いていた生活と現実の生活のギャップが生じ対応に苦慮することが多くなります。

結果的に、本人の精神状態も低下し、ご家族さんの精神状態も低下し、互いに問題が生じることによって、生活リズムが崩れ、介護量が増加するといった悪循環が生まれてしまいます。

本人は、家族との葛藤、孤独感、不安感などから悩み、社会から取り残された気持ちになり、ご家族さんは発症前と現在の状態の違いや介護負担感、焦燥感に悩み活動範囲が減ることで社会との繋がりが少なくなり 『本人⇔家族』という狭い世界が中心となってしまいます。

これが、『本人⇔対象者』の閉じこもりです。

生活環境の変化

退院後、入院中のリハビリで獲得した生活機能が病院とは異なる自宅の環境に適応できず、入院時より機能が低下して生活リズムが崩壊してしまうことがあります。

 

入院時と退院後の生活では様々な異なる点があります。

住環境は、入院中は病院という環境で整備されています。

しかし、在宅復帰後は個別性が非常に高く、個人の生活様式となります。

介護者は、入院中は看護師や看護助手等の専門職による介護です。

しかし、在宅復帰後は、介護なしor家族の介護、または訪問介護等の一部の介護となります。

主体性に関しては、入院中は被指示的生活になり易いです。

しかし、在宅復帰後は、自分のお城ですので、主役が自分になります。

少し言い過ぎかもしれませんが、実生活を考えたリハビリを入院時から実施する必要があると思います。

その為にはどのようなリハビリを回復期の時から行えば良いでしょうか?

まず、

『心身機能が良くなればこれぐらいのことはできるはずである』

という根拠のない身体機能の予後予測はオススメしません。

生活環境の実態や影響から導き出される生活予後の予測を導き出して、目標を設定することで、現実に則した実生活に反映できるリハビリが実施できると思います。

関わる専門職の変化

入院中の生活では、病院という建物の中に、患者さんがいます。

同じ建物の中に数多くの専門職がいます。

一方で、退院後の在宅生活では、患者さんの家には家族がいます。

そして、必要な時に受診をしたり、ヘルパーを呼んだり、訪問リハビリを呼んだりします。

また、通所リハビリや通所介護に通い、専門職と関わることもあります。

専門職の一時的な関わりと言いましても、それはいつでも使えるのではなく、ケアマネージャーが立てるケアプランに沿ってサービスが提供されます。

下記の図が現在の介護サービスの一覧です。

どんな介護サービスがあるのかもしっかりと覚えていくことが適切な退院支援に繋がると思います。

是非、少しずつでも覚えてみて下さい。

リハビリテーションの変化

リハビリテーションでの1番の変化は、

専門職の関わる時間の変化です。

回復期でのリハビリが例えば1日120分で週6日実施されているとします。

そうすると、一週間で720分理学療法士等が関わることになります。

もし、介護サービスを何も利用しない場合は、それが一気にゼロ(0)になるのです。

次に、訪問リハビリを週に2回、各40分間で提供するとしましょう。

それでも、週に80分間しか関われないのです。

週720分間→週80分間で訪問リハビリのセラピストは結果を出さなければいけません。

週720分間を今、どのように使っていますか?

しっかりと在宅支援に向けた取り組みができていますでしょうか?

つづいて、通所リハビリを利用する場合です。

制度が変わり、個別リハビリの時間がバラバラですので、例えば1回の利用で20分間関わったとしましょう。

そうすると、一週間に40分間です。(あくまで、リハビリ専門職との個別の関わりです)

回復期リハビリ病棟退院後の実際

訪問リハビリは

困ったことがある

とケアマネージャーから依頼が来ます。

退院後、実際にあった事例を紹介していきます。

きっと、訪問リハビリに関わっている人であれば、

『あるある』と思うはずです。

↓この記事も読んでみて下さい↓

訪問理学療法士とケアマネの『訪問リハビリ対象者』の考えの違い

 

①入院中は入浴動作が自立していたが、退院後入浴しようとしても一人では入れない

本当に良くあることです。浴槽が跨げない。

欲しいところに手すりが無い。環境が変わり恐怖心がある。

②独歩で退院したはずが、妻の車椅子を押して散歩に出かける

なぜ歩行補助具無しで帰したのか?良く疑問に思うことがあります。歩行器一つで活動量が増加することは数多く経験してきました。

退院後、偶然あった車椅子を歩行器代わりに使用したということは、本人にとっては独歩は生活上不便だったのだと思います。

それを回復期のスタッフに報告すると『退院時は大丈夫でした』と良く言います。

退院時はゴールではありません。スタートです。今、できていなければ意味がありません。

③退院後、ほとんどベッド上で生活している

これは在宅では、日常茶飯事です。

回復期のスタッフはこれを予測しないといけません。

④杖歩行で退院したはずが、車いす移動

これも良くあることです。

入院中はリハビリ中もたくさん歩いていたのに、退院した次の日から車椅子。

これが在宅復帰後の現実です。

⑤介護者が適切な介護方法を分からない

これも非常に良くあることですね。

おそらく入院中に指導はしているのだと思います。

しかし、初めての介護。

できると思っていてもできないのです。

それが現実です。

⑥デイサービスやデイケアにすぐに行かなくなる

退院後、デイサービスやデイケアに行き続けていると思ったら大間違いです。

なぜならば、

『デイサービスに行くはずだったんですが、行けなくなりまして』

と訪問リハビリに連絡があるからです。(笑)

在宅復帰後は『え?』って思うことが良くあるのです。

⑦自主練習を何をしたら良いか分からない

退院後は自主練習が非常に大切だと思います。

しかし、自主練習が指導されていないことも非常に多いです。

また、自主練習は誰もが継続してできるか?というと違います。

できる人とできない人がいます。

リハビリの時間が減るということを理解した上で対象者にどのような自主練習が適しているのかを見極め、提供していく必要があります。

⑧環境変化に戸惑い、精神的な落ち込みがみられる

前述したように、精神面のダメージは本人家族共にみられます。

やはり、『できると思っていたができなかった』という声が多く聞かれます。

⑨道具の使い方を理解していない

これも良くあることです。

一番驚いたことは、杖ではなく、園芸用の支柱を杖代わりに使用していたことです。(笑)

その時は言葉が出ませんでした。

また、福祉用具の使用方法もあまり分かっていない方もいます。

福祉用具についてはこの記事を見て頂ければ、少しは退院支援に役立つと思います。

訪問リハビリ5年の理学療法士が語る福祉用具に関するメッセージ

Viens Floral(ヴィヤンフローラル)

回復期病棟と在宅の連携の工夫

回復期病棟から在宅に生活機能を低下しないで上手に移行する為に有効だと思う方法があります。

それは、回復期病棟と訪問リハビリのセラピストの兼務体制です。

兼務体制をとることで、以下のようなメリットがあると考えます。

①入院中のリハビリが継続できる

②退院後の機能低下を予防できる

③回復期病棟のセラピストに生活期のリハビリの視点を伝達できる

④退院後の生活を回復期病棟のセラピストに報告できる

⑤新人セラピストの教育になる

⑥訪問リハビリのセラピストも活動や参加だけでなく、機能面も意識できる

⑦ケアマネージャーや福祉用具業者との架け橋となる

可能であれば中間カンファレンス・退院時カンファレンス・家屋評価にも立ち会い、退院時の介護サービスの調整にも関与できると良いと思います。

まとめ

退院後の生活について少しは理解を深めて頂けましたでしょうか?

入院中から退院にかけては様々な大きな変化が起こります。

まずは『変化が起きる』ということを覚えて下さい。

そして、退院後は想定外のことを皆さんがやり出します。

それも覚えておいて下さい。

一番上手な退院支援は、

生活混乱期が無く退院直後、生活安定期に移行ができるような支援です。

退院はゴールではなく、スタート。

退院後の生活を見据えたリハビリを入院中から行っていくことが非常に大切です。

また、セラピスト・本人・家族が退院後に少しでも不安があるのであれば、退院後のフォローとして訪問リハビリを利用するのも一つの方法かもしれません。

病院のリハ職へ!訪問セラピストが欲しいリハサマリーの内容

6 Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。