リハビリ

人工透析患者に対する訪問リハビリ

人工透析患者に対する訪問リハビリ

訪問リハビリの利用者は一つの特徴は『人工透析患者が多い』ということだと思います。
人工透析は基本的に週3回行い、次の日まで倦怠感が残ることも多いです。
その為、通所リハビリやデイサービスに行く体力も無く、訪問リハビリを利用する方も多いのではないかと思います。
人工透析患者への訪問リハビリでの基本的な関わり方で大切なことは『状態把握』・『指導』・『心理的支援』・『運動療法』だと思います。
人工透析は訪問リハビリに従事するセラピストには必要な知識だと思います。

人工透析とは?

腎臓の機能を人工的に代替する医療行為です。
腎不全になって腎臓の働きが悪化すると、腎臓そのものがほとんど機能しなくなり、生命を維持していくために最終的に人工透析か腎臓移植を選択するしか道はありません。
腎不全(腎臓の働きが悪くなる疾患を総じて腎不全と呼ぶ。機能として30パーセント以下になると慢性腎不全と呼ばれる)に陥った方が尿毒症になるのを防止するには、外的な手段で血液の『老廃物除去』『電解質維持』『水分量維持』を行わなければいけません。
この治療を『透析』と呼び、人工腎、血液浄化と呼ばれることもあります。
血液透析が発明されたことで、腎臓の働きがゼロになっても寿命を延長することができるようになりました。
人工透析には血液透析(HD)と腹膜透析(CAPD)の2つの療法がありますが、ダイアライザー(透析器)を使った血液透析を行う人が圧倒的に多いです。

人工透析の実際の流れ

①基本的に医療機関で行います。極少数ですが、自宅で行う人もいます。
②通院は週3回程度で、医療スタッフが治療を行います。
1回の治療時間は4時間程度です。
③動脈と静脈をつなぎ合わせる手術で、静脈に多くの血液が流れるようにします。
④シャントに刺した針から血液を体の外に取り出し、体にたまった余分な水分や老廃物を器械で取り除きます。
⑤治療中に動き回ることはできませんが、患者さん同士で話したり、テレビを見たり、食事をしたり、読書をして過ごす方が多いようです。

シャントとは?

血液透析(HD)を行うために動脈と静脈を連絡して静脈を膨らませ、太い針を刺せるようにするためのものです。

全身状態把握のポイント

・一般状態の確認
・シャントの状態
・バイタルサイン
・血圧(高血圧、低血圧)、脈拍
・胸痛、胸内苦悶、呼吸困難の有無
・冷汗
・発汗、熱感、悪寒
・頭痛、意識障害、めまい、耳鳴り、視力障害
・筋痙攣、筋硬直、イライラ感、しびれ感
・嘔気、嘔吐、腹痛、下痢
・倦怠感、疲労感
まだまだたくさんあると思います。

運動負荷の中止基準

症状狭心痛、呼吸困難、失神、めまい、ふらつき、下肢疼痛(跛行)
兆候チアノーゼ、顔面蒼白、冷汗、運動失調
血圧収縮期血圧の上昇不良ないし進行性低下、異常な血圧上昇(225mmHg以上)
心電図明らかな虚血性ST-T変化、調律異常(著明な頻脈ないし徐脈、心室性頻拍、頻発する不整脈、心房細動、RonT、心室期外収縮など)、Ⅱ~Ⅲ度の房室ブロック

【日本循環器学会・他:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインより引用】

長期透析の合併症と予防方法

①心不全
原因→水分・塩分の取り過ぎ、貧血、高血圧、動脈硬化、心膜炎、その他の心疾患
症状→浮腫、胸痛、動悸、息切れ、痰、体重増加、血圧上昇
予防→水分・塩分を制限し、体重をコントロールする。血圧のコントロール・動脈硬化予防のため過食に気をつける

②高血圧
原因→水分・塩分の取り過ぎ、レニン分泌増加、過食・肥満による動脈硬化、ストレス
症状→頭痛、肩こり、イライラ、吐き気、痙攣、意識消失
予防→水分・塩分の制限、カロリー過剰・特に脂肪のとり過ぎに注意、適切な運動を行なう、降圧剤の投与

③高カリウム血症
原因→食事摂取量が少なく、細胞が壊され、細胞内のカリウムが血液中に出てくる。カリウムの多い食品の取り過ぎ。透析不足。消化管出血
症状→手指がしびれる、口唇がしびれる、倦怠感、口のこわばり、胸が苦しい、意識が消失
予防→カリウムの多い食品(果物・生野菜・芋・豆・海草)を制限する。十分に栄養をとる。十分に透析する

④消化管出血
原因→透析不足。尿毒素によって胃腸の粘膜が保護できなくなったり、血小板の働きが低下し、出血し易くなる。精神的・肉低的ストレス薬の影響で胃・腸の粘膜があれる。ヘパリン使用により出血し易くなる。
症状→消化器症状:腹痛、嘔気、食欲不振、便・嘔吐物に血液が混じる、貧血の症状が
予防→十分に透析を行う。バランスの良い食事を摂る。胃の刺激の強い薬は注意する。ストレス解消に気分転換を図る

⑤関節炎(関節滑膜や腱鞘の炎症)
原因→関節を構成する線維にアミロイドが沈着
症状→痺れや麻痺、母指球のふくらみ、手足の麻痺、手根管症候群、自発痛
予防→透析、運動療法、関節可動域訓練

透析患者への運動療法の効果

運動療法の効果としては以下のようなものがあります。

①有酸素能力の改善

②心機能の改善

③血圧の改善

④糖代謝の改善

⑤脂質代謝の改善

⑥筋力の改善

⑦機能的パフォーマンスの改善

⑧うつの改善やQOL(生活の質)の改善

運動療法の内容

透析がない日の運動療法は有酸素運動と筋力増強運動を併用したものが良いとされています。

有酸素運動については歩くこと(ウォーキング)が一番良いと思います。

Brog指数が「楽である」~「ややきつい」の11~13になるような強度で、運動中の血圧や心拍数が過度に上昇しない事に注意して行う必要があります。週3回を目安に運動後強い疲労感が生じないように実施することが良いとされています。

筋力増強運動については、負荷量は10~15回反復できる強さに設定して、1日1~3セット×10~15回を行いましょう。運動後は可能であればストレッチ等を指導して行ってもらうことが良いとされています。

運動の頻度は2回未満ですとあまり効果が得られないとされているため、週3回を続けられるように工夫をすることも大切です。

血液データのポイント

【透析効率の検査】
・クレアチニン(Cr)
・尿素窒素(BUN)
【電解質の検査】
・カリウム(K)
・ナトリウム(Na)
・カルシウム(Ca)
・リン(P)
【貧血の有無をみる検査】
・赤血球(RBC)
・ヘマトクリット(Ht)
・ヘモグロビン(Hb)
【骨障害、透析アミロイドーシスの有無をみる検査】
・ベーターツーミクログロブリン(β2‐MG)

ABOUT ME
杉浦 良介
静岡県出身・在住の理学療法士(PT)です。 訪問リハビリの分野が大好きです。 人と人を繋ぐ理学療法士を目指しています。 訪問リハビリが好きな人・訪問リハビリについて知りたい人・繋がりたい人・悩んでいる一般の人…ドシドシお問合せ下さい! 相談されると喜んで返信します(笑) まずはお問い合わせから連絡をお願いいたします。 Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いします。