リハビリ

【解説】ALS(筋萎縮性側索硬化症)の訪問リハビリテーション

 

ALSってご存知でしょうか?

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は生活期の訪問リハビリテーションにおいては関わる機会がある疾患の一つです。

この記事では、筋萎縮性側索硬化症について解説をしていきます。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis)は、ALSと略されます。

ALSの名はフジテレビの三浦春馬と多部未華子が演じた「僕のいた時間」で広まって現在では知っている人も多いのではないでしょうか?

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく神経変性疾患の一つです。

有病率は10万人あたり2〜7名、発生率は10万人あたり1〜1.5人と言われています。

男女比は「男性1.4:女性1」とされています。

通常は40〜60歳代に発症されるとされています。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断基準

ALSの診断は神経学的所見と筋電図所見が重要とされています。

 

  1. 上位運動ニューロン徴候(腱反射亢進、痙縮、病的反射)と下位運動ニューロン徴候(筋萎縮、繊維束性収縮)が多髄節にわたって認められること
  2. 症状が進行性であり、かつ初発部位から他部位への進展がみられること
  3. 類似の症状をきたす疾患の鑑別(除外診断)が必要である

Awaji基準より引用

鑑別診断(下記の診断でないこと)

・脳幹・脊髄疾患:腫瘍、多発性硬化症、頸椎症、後縦靱帯骨化症など
・末梢神経疾患:多巣性運動ニューロパチー、遺伝性ニューロパチーなど
・筋疾患:筋ジストロフィー、多発性筋炎、封入体筋炎など
・下位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:脊髄性進行性筋萎縮症など
・上位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:原発性側索硬化症など

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状

ALSは以下のように3つの型に分けられることがあります。

  1. 上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す上肢型(普通型)
  2. 構音障害、嚥下障害といった球症状が主体となる球型(進行性球麻痺)
  3. 下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る下肢型(偽多発神経炎型)

症状としては、四肢の運動障害、歩行障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害などがあります。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因

遺伝に関係がない孤発性ALSの病態としては、

・フリーラジカルの関与
・グルタミン酸毒性

により神経障害をきたすという仮説が有力と言われています。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は遺伝するのか?

大部分は孤発性(遺伝に関係ない)でありますが、遺伝性の発症もみられます。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)全体のうち約5%は家族歴を伴い、家族性筋萎縮性側索硬化症(家族性ALS)とよばれています。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の経過・予後・寿命

予後は個人差が非常に大きいと言われていますが、発症から死亡までの期間は約3.5年と言われています。

中でも球麻痺型がもっとも進行が早いと言われています。

症例ごと異なりますので、その症例ごと対応していく必要があります。

また、人工呼吸器を装着された場合は20年間以上の生存例もあります。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)のリハビリの目的

ALSだけでなくリハビリの目的としましては、進行する疾患に対していかに生活の質(QOL)を向上させることだと思います。

確かに、関節可動域を拡大を図ったり、筋力や呼吸機能を維持させることも大切だとは思いますが、その前提として、生活の質(QOL)を向上させるという目的を忘れない欲しいと思います。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)のリハビリの内容

ALSのリハビリの内容は色々なものがありますが、代表的なものをあげていきます。

  • 運動方法の指導
  • 呼吸療法
  • コミュニケーション手段の検討
  • 緩和ケア
  • 装具療法

詳しくは下記の訪問リハビリの内容のところで説明をしていきます。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)のリハビリの評価

ALS重症度分類を用いたり、日本版改訂ALS Functional Rating Scale(日本版ALSFRS-R)などを利用して評価することが多いです。

症状が様々ですので、その症状に合わせて、コミュニケーション、呼吸機能、筋力、握力、腱反射、歩行、嚥下機能、食事形態、生活の質(QOL)、認知機能等の評価が必要です。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の訪問リハビリ

私自身訪問リハビリを通して色々なALSの方を担当してきました。

様々な文献に記載されているように症状が急速に進行していきます。

例えば、代表的なALSのリハビリテーションである①関節可動域練習、②負荷に注意した運動療法、③呼吸練習などももちろん大切です。

筋肉が動かしにくくなり、関節が硬くなりやすいため、初期の段階から丁寧に行っていく必要があります。また、筋力練習に関しても高負荷にならないようにし、日常生活動作に必要なレベルでは行っていく必要があると思います。呼吸練習としても肺や胸郭の柔軟性を維持することが大切とされており、これも関節可動域練習と同様に初期の段階から行う必要があります。

訪問リハビリを行う上で私が大切であると思うことをあげていきます。

  • 多(他)職種連携
  • 福祉用具の検討
  • アイデア
  • 本人家族の心理的支援
  • 家族指導
  • 目標設定

医師を含む多くの他職種が連携をして、在宅チームでアプローチをすることがとても重要です。そして、アイデアを出し合い、福祉用具を利用して「できること」を増やしていく必要があります。そして、何より本人と家族の心理的支援は必要です。関わる医療介護職にしか頼ることができない本人家族をいかに支えていくかがかなり大きな役割だと思っています。そして、前向きになるような目標設定をして、生活の質を高めていく必要があります。

そんな中、上述しましたが、ポイントは生活の質をどう向上させるかが鍵を握っていると思います。

機能維持は確かに大切なことだとは思いますが、機能を維持して何をするのか?どのような生活を送ることが大切なのか?そこを学ぶことができるとリハビリテーションの本質が見えてくるかもしれませんね。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)のオススメの本

ALSのおすすめの本を紹介します。

両方ともとても参考になる本ですので、是非みてみてください。

ALSマニュアル決定版!

神経難病リハビリテーション100の叡智

ALS(筋萎縮性側索硬化症)で使える指定難病医療費助成制度

ALSは訪問リハビリや訪問看護では指定難病医療費助成制度が利用可能です。

利用者さんの負担を少なくするためにも、紹介できるようになっておくと良いと思います。

詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

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杉浦 良介
静岡県出身・在住の理学療法士(PT)です。 訪問リハビリの分野が大好きです。 人と人を繋ぐ理学療法士を目指しています。 訪問リハビリが好きな人・訪問リハビリについて知りたい人・繋がりたい人・悩んでいる一般の人…ドシドシお問合せ下さい! 相談されると喜んで返信します(笑) まずはお問い合わせから連絡をお願いいたします。 Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いします。
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