私は訪問リハビリで働く理学療法士の杉浦です。
リハビリを行う中で何が一番大切だと思いますか?
利用者さんのためになることをする!
そして、
利用者さんの「希望」を叶えるために行う
これが重要になると思います。
目次
リハビリは希望を叶えるために行う
訪問リハビリは自宅で行うリハビリです。
病院や通所リハビリ、デイサービスなどで行うリハビリとは異なり、想いをすぐに形にできる空間でリハビリを行うことができます。
利用者さんには色々な想いがあります。
- 買い物に行けるようになりたい
- 外食をして美味しいものを食べたい
- もう一度働いてお金を稼ぎたい
- 孫の運動会を見にいきたい
- 孫の結婚式に出席したい
- 健康麻雀クラブに行きたい
- グランドゴルフをしたい
想いは人それぞれ違います。
なんでも良いのです。
- 「やりたい」を「やる」に
- 「できない」を「できる」に
その想い(希望)を叶えるために一緒に考え、時には意欲を引き出し、時には身体的にリハビリの視点を生かすのが訪問セラピストの使命です。
想いを叶えるために大切な屋外歩行訓練
「やりたいこと」は自宅内ではできないことが多いです。
例えば、「買い物に行きたい」という想いがある利用者さんは、お店まで移動しないといけません。
「移動」するという能力がとても大切になります。
移動の方法は正直どんな方法でも良いと思います。
- 車椅子で移動
- 介護タクシーで移動
- 歩いて移動
目的さえ合っていれば何でも良いのです。
しかし、もし利用者さんが「歩いて買い物行きたい」という希望であれば、それを叶えるために色々と考えて行く必要があると思います。
そこで重要になってくるのが屋外歩行訓練です。
最近の訪問リハビリではこの2つがキーワードになっています。
- 活動や参加に焦点を当てたリハビリ
- 社会参加支援
利用者さんの想いを形にするためにも、訪問リハビリにおける屋外歩行訓練のポイントを勉強して行きましょう!
訪問看護からのリハビリは屋外歩行訓練はダメ?
以前このような記事を書きました。
- 訪問看護の屋外歩行に関しては、厚労省の正式な条文がないので留意が必要
- 確かに訪問看護における屋外歩行に関してはグレーゾーンかもしれない
- しっかりとした目的、医師からの指示、訪問看護計画書への記載があれば可能
屋外歩行訓練におけるリスク管理
訪問リハビリで屋外歩行をする時に一番注意をしなければいけないことはやはりリスク管理です。
リスク管理が大切と言いながら、過去にこんな記事も書きました。
この記事にも書きましたが、目的を大切にすべきと思います。
訪問リハビリで屋外歩行訓練を行う際に大切なリスク管理のためのコツをいくつか紹介します。
※当たり前のフィジカルアセスメントは除きます。
- いつも以上に全身状態に注意
- 緊急連絡先を必ず把握
- 携帯電話を持つ
- できればバイタル測定器を持つ
- 休憩場所はあるかの確認
- 中止するという勇気
「何かあるかもしれない」ということを常に考えて屋外歩行訓練を行うことが大切だと思います。
慎重に慎重になりすぎて外に出ていけないことも良くはないと思います。
リハビリ全般でリスク管理は必要ですが、屋外歩行訓練は周りにすぐに助けてくれる人がいない場合が多い少し変わったリハビリです。普段より注意をして行うべきですね。
屋外歩行訓練の評価
「屋外歩行訓練=外を歩く」
確かにそうですが、しっかりと目的を持って行う必要があります。
「訪問リハビリで今日も外歩いてきたぜ!」と自慢げに報告しているセラピストさんも時々見るかもしれませんが、「ただ歩く」それだけではいけません。
そこに目的はありますか?
それを常に自問自答する必要があります。
ただのお手伝いさんにならずに、しっかりと目的に合った評価をして理学療法士や作業療法士である誇りを持ちたいですね。
屋外歩行訓練をする際の評価のポイントを紹介します。
- どのくらいの距離を歩行可能か?
- どのくらいの速さでの歩行が可能か?
- 横断歩道は渡ることができるか?
- 斜面やぬかるみなどの不整地ではどうか?
- 車など周囲に注意はできているか?
- 道路の真ん中を歩いていないか?
- 介助は必要か?自立できているか?
- バイタルの変化はどうか?
- 道を覚えているか?
これは、ほんの一部です。
例えば、屋外歩行距離を考える際も、「行きたいお店まで行く距離を歩行できるのか?」と考える必要がありますし、アスファルトでの歩行はどうか?坂道では身体を上手に使うことができているか?バランスは?など機能面においてもしっかりと評価をする必要があります。
その人ごとの目的や身体機能に合った評価をする必要がありますね。
屋外歩行の自立の基準は?
屋外歩行の自立の基準って皆さんはどう考えますか?
正直、私はよくわかりません。
転倒する可能性がゼロの人はいませんし、TUGや10メートル歩行のカットオフ値を基準にできるとも思えません。
そもそも訪問リハビリではTUGや10メートル歩行のテストができません!
6年間訪問リハビリに携わっていますが、やったことありません(笑)
過去にこんな記事も書きましたが、屋外歩行の自立の評価にはきっと直結はしません。
自立って何なのでしょうか?
永遠の課題かもしれませんね。
結論としては「できていれば良い」
でも、そこにしっかりとリハビリ専門職としての視点で評価をして最低限の助言をする必要があると思います。
あと大切なのは、家族への説明です。
車の運転も同様だと思います。
最終的には家族会議をしていただき、決めていただく必要はありますね。
重ね重ねになりますが、そこにリハビリ職としての助言は必須です。
屋外歩行訓練の服装
屋外歩行訓練をする際に結構重要になってくることが、服装です。
これは訪問リハビリのセラピストも同様です。
夏は暑く、冬は寒い。
冬は本当に寒いです。
「え!?こんなに寒いのに歩くの?」という人もいます(笑)
訪問リハビリあるあるかもしれませんね。
寒さや暑さが身体に与える影響は色々あります。
しっかりと服装を考えて、屋外歩行訓練を行う必要がありますね。
事業所に麦わら帽子を用意しておくのも良いかもしれませんね!
昔、ビロビロのタンクトップ(ちくびが見えるパターン)に麦わら帽子を被って外を歩くおじいさまがいました。
可愛かったです(笑)
屋外歩行訓練の歩行補助具
屋外歩行の歩行器の定番はやはり『ハッピーⅡ』ですね。
私も持ってます。嘘です。
福祉用具を選ぶポイント本当に色々あります。
- 身体機能との適合
- 見た目
- 本人が気に入っているか?
- 値段
- 使い易さ
- 持ち運び易さ
「屋外歩行を行うための歩行補助具をどうするか?」は訪問リハビリの現場ではよく議論が交わされる内容だと思います。
杖や歩行器など、どんどん新しい福祉用具が出てきています。
最新の福祉用具、福祉用具の機能についてしっかりと知っておくことも訪問リハビリのセラピストには必要なことです。
私がオススメする屋外歩行訓練を行う上での一つのポイントは、「まずは安全なものから始める」ことが良いと思います。
介護保険サービスの最大のメリットは、福祉用具のレンタルです。
使えるものは最大限発揮して、利用者さんの想い(希望)を叶えるために、良い歩行訓練が行えると良いですね。
最近の流行りのノルディックウォーカーポールもオススメです。
屋外歩行訓練で使えるアプリ
私は訪問リハビリでスマホアプリを使うことがあります。
屋外歩行訓練では、『Runmeter』というアプリを使います。
歩いた道のり・速度・時間をかなり正確に測ることができるのでオススメです。
評価を数値化してフィードバックすることで利用者さんの意欲を引き出すこともできますよ!
屋外歩行訓練で使える道具
やはり、一番は『歩数計』ですね。
歩数計にも訪問リハビリの使い方があります。
「今日は○○歩 歩けましたね」
「明日は○○歩 歩きましょう」
これだけではダメな例です。
歩数を増やすことは目的ではないからです。
例えば、運動習慣をつけるという目的でバイタルを診ながら歩行訓練を行う場合、時間や歩数を目安にして頂く。または、距離と歩数を照らし合わせて活動量の把握を評価する。意欲を引き出すためのツールにする。フィードバックに利用する。などです。
全て目的が関係してきます。
一つアドバイスです。
百均の簡易的な歩数計はあまり使えません(笑)
蓋がないとすぐにリセットされますし、しっかり挟めないのでトイレに落としやすいです。
訪問リハビリにおける屋外歩行訓練のまとめ
訪問リハビリにおける屋外歩行訓練について簡単にまとめてみました。
訪問リハビリは正解がなく、様々なことに柔軟に対応する必要があります。
屋外を歩行できるようになれば、活動範囲が拡大され、利用者さんの想いを形にする道が開ける可能性が大いに高まります。
リスク管理をしっかりして、目的に合った、目標を叶えることのできる屋外歩行訓練ができると良いですね!